研究開発会社であるサイボウズ・ラボは、「とにかく何か作ってやってみようみたいなところ」だと青野氏は語る。独自の基準を設けており、情報処理推進機構(IPA)が認定するスーパークリエイターなど飛び抜けた技術を持った人材が集まっている。
「すごいですよ。ラボの掲示板とか読んでいても意味がわからない。技術者出身の僕ですら何を言っているのかまったくわからないですね」(青野氏)
例えば、Googleには有名な「20%ルール」という制度がある。すべてのエンジニアが20%の時間を自分が重要だと思うプロジェクトに費やせるというものだが、サイボウズ・ラボはそれを超えた「50%ルール」という制度がある。サイボウズ・ラボが設定する研究開発領域の範囲内において、自分で設定した研究開発テーマに業務時間の最低50%を割くことができるということが保証されている。「一応、『半分は好きなことをやっていいよ』というふうにしているんですが、よく見ると100%好きなことをやっているかもしれない(笑)」(青野氏)
ところで、サイボウズ本体は福利厚生と部活動がおもしろい。
例えば、社員持ち株会の奨励金が100%というものだ。2万円積み立ると、会社からはもう2万円補助が出て、4万円ずつ積み立てることができる。この制度を導入したことにより、社員持ち株会の加入率も90%近くに上がったという。また産休制度も充実しており、最大6年の休暇を取ることができる。森岡氏によれば、ここ3年ぐらいの間に出産を機に辞めた人はいないという。もちろん、男性社員でも最大6年間休暇を取得できる。
部活動では「Nintendo DS部」の活動が盛んだ。「みんなで会議室に入って、マリオカートをやっているんです。このあいだグーグルのマリオカートに試合を申し込んできたんですよ。乗り込んでいったんですけど、惨敗して帰ってきました(笑)。『やっぱり、仕事できるやつはゲームもうまいね』って」(青野氏)
グーグルとの対戦状況はYouTubeにアップされている。部活動の効果もあり、社員は皆仲が良いそうだ。Nintendo DS部には開発系、カスタマー系まで、様々な部署からメンバーが集まっている。ちなみに社員の平均年齢は30歳だ。
事業の話に戻ると、10周年、シェア?1を獲得し、「グループウェア回帰」とも言うべき1年を過ごしてきたサイボウズが2008年に狙うのは、大企業へのグループウェア導入だ。
「これはもう命懸けでやるつもりです。どうしてもサイボウズは小さいところ向けのグループウェアという印象がぬぐえなかった。春に出てくるガルーンは1万人まで利用できる。大企業相手の事業を今年以降は必ずやっていきます。ノーツとの最終決戦だと思っています」(青野氏)
2007年末には岡山県庁や横須賀市役所など、官公庁での導入事例を立て続けに決めた。「10年やってきた積み上げで、ようやく信用していただけるようになってきた」と青野氏は語る。
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