いよいよ“現実買い”のステージか、期待と失望くり返したアプリックス

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 アプリックスがいよいよ、“現実買い”のステージに入ったようだ。

 Java系携帯電話向け組み込みソフトを手掛ける同社はこれまで、新興市場で最も多くの投資家を“裏切ってきた銘柄”のひとつだった。

4期ぶりの黒字決算

 アプリックスは2月7日の取引終了後、2007年12月期業績の上方修正を発表。連結売上高は従来計画60億円から67億6300万円へ、経常損益は同10億円の赤字から3億2200万円に黒字転換した。

 国内でJava対応端末の拡充が進んだほか、海外メーカーへの採用が増えて出荷台数が伸長。ロイヤリティ収入が計画を上回った。ミドルウェア・フレームワーク事業の中断により研究・製品開発費が縮小、外注費の削減により経費も縮小した。

 発表された上方修正通りになれば、株式公開した2003年以来、実に4期ぶりの黒字決算となる。同社は毎期のように期初に黒字計画を示しては下方修正を繰り返してきた。2006年12月期は連結経常損益で12億6800万円の赤字を計上していた。

 同社のビジネスモデルに対する株式市場の期待、注目度は高かった。しかし、将来性への評価が高かった一方、開発費など投資先行で赤字を計上し続ける現状への失望感も強く、アナリストの評価も二分されていた。

重要プロジェクトのほとんどに

 アプリックスの将来性への期待を支えていたのが、主力のJavaソフト「Jblend」の普及に伴う収益拡大であり、さまざまなプロジェクトへの参画だった。そのプロジェクトの一つが2007年8月にコアメンバーとしての参加を発表した「LiMo Foundation」。「LiMo Foundation」は携帯電話機器のリナックスベースのプラットフォーム標準化を目指す団体で、米モトローラやNTTドコモ、パナソニックモバイルといった有力企業が設立した。

 また、同11月には株式市場でも話題を集めた「Open Handset Alliance」への参加も発表。米Googleが形成した連合に参加し、オープン・モバイル・プラットフォーム「Android」を提供していく。

 アプリックスはNTTドコモを筆頭株主に持つほか、業界内の重要なプロジェクトのほとんどに参画している有力企業。株式市場では唯一、足元の業績面だけが評価のネックとなってきた。

 株式市場では、現状よりも将来性を評価して投資することを「理想買い」、足元の業績など現状と近い将来を見て投資することを「現実買い」と言う。これまで「理想買い」しかなかったアプリックス株だが、2007年12月期業績の黒字浮上を受けていよいよ、実態を評価して買える局面に入っていたのだ。

新興市場の新たな柱になれるか

 業績計画の上方修正を受けて始まった2月8日の株式市場では、取引開始時からアプリックス株に買い注文が殺到。値幅制限いっぱいまで上昇したが、大量の買い注文を残した。当面は、4期ぶりの黒字浮上へのサプライズが株価を上昇させそうだ。

 ただ、アプリックスは2月15日の取引終了後に12月期決算の発表を控えている。2007年12月期業績は修正済みだが、それは過去の数字。株式市場がより注目しているのは、決算発表と同時に示される2008年12月期業績計画だ。そこで黒字体質の定着が確認されれば、より腰の据わった買いが流入してくることが考えられる。

 アプリックスは東証マザーズ市場の主力株の一つ。これまではミクシィなどネット系銘柄が新興市場の物色の柱だったが、ここ数日はネット株への「買い疲れ感」が強まっていることもあり、収益面への懸念が後退しつつあるアプリックス、同社株に連れて注目を集めている同業のACCESSを再び注目する向きが増えてきている。今後は新興市場の主役交代を読む声も強まっていきそうだ。

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