先ほども述べたとおり、SPIDER Proは企業向けの製品だ。価格も、1.5Tバイトモデルが60万円、2.5Tバイトモデルが78万円で、決して安価な製品ではない。また、ハードウェアに加えて検索機能を利用するための月額料金4万円が必要となる。
ただ、PTPの有吉氏は、「最終的には一般コンシューマーモデルをより低価格で販売したい」と話す。有吉氏自身テレビが好きで、コンシューマー視点で「こうやってテレビを見ることができれば便利なのに」という思いから開発が始まったためだ。
現在約120社での導入が進んでいるSPIDER Proだが、企業でデモを披露するたびに「自宅で使いたい」と漏らす担当者も多いとのこと。コンシューマー向けに販売していない理由として有吉氏は、「SPIDERは現在アナログ放送にしか対応しておらず、2011年にアナログ放送が終了した際どうなるかわからない。企業にとっては3年という期間は競争力をつけるために十分な時間で、そのための投資も惜しまないが、一般消費者にとって3年後の予定が見えない製品は手を出しにくいだろう」と話す。
しかし、それでも使ってみたいという要望が高まっているため、「アナログでしか利用できないという点を理解してもらった上で、4月にも個人向けに限定販売を予定している」と有吉氏。限定販売の台数や価格は現時点で未定だが、月額使用料については「機能を個人向け仕様とし、高くても数千円に抑えたい」としている。
限定販売によってフィードバックを得た上で、SPIDERの機能は今後も進化し続ける予定だ。現在も、タレント名をWikipedia検索できる機能や、インターネットの検索ワードランキングと連動した番組の見せ方などをテスト中だ。こうしたバージョンアップは、ソフトウェアの自動配信によってユーザーに順次提供される。「SPIDERは常に進化する。このバージョンアップの楽しさも味わってほしい」と有吉氏は語る。
はじめて有吉氏に「面白いハードディスクレコーダーを出す」と聞いた時には、取材対象として面白いかもしれないと思った程度で、個人的に使ってみたいとは特に思わなかった私が、デモ機を数カ月利用しただけですっかりこの機械にハマってしまった。テレビを見る習慣を完全に変えてしまうほどの威力があるこのSPIDERは、面白いどころか恐ろしいとさえ感じるマシンだ。
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