［レビュー］大人の私を今さらテレビっ子にした恐るべき製品「SPIDER Pro」 - (page 2)

実は「企業向け」のHDDレコーダー

　タレント名による検索だけでなく、企業名での検索も便利だ。実は現在SPIDER Proは、「Pro」という名称が示す通り、現在は広報担当者などが自社のCMや報道内容をチェックするといった利用法を想定し、企業に対してのみ販売されている製品なのだ。そのため、企業名での検索が欠かせないわけだが、この企業名検索は一般ユーザーにとっても「使える」機能だ。

　例えば、ソフトバンク「ホワイトプラン」のCMに出てくる「お父さん犬」が好きな私は、「ソフトバンク」でCMを検索し、お父さん犬が出演しているCMをすべて保存している。また、「資生堂unoのCMに出ているOrlando Bloomってステキ」という友人の発言を聞けば、自宅に戻ってすぐにCMをチェック。遠い昔、某アイドルタレントが好きだった若かりし頃にこの機能があったなら、テレビの前に張り付いてお目当てのアイドルが登場するCMを録画しようと待ちかまえる必要もなかっただろうにと思う。

　また、ユーザーにはSPIDERのメニュー画面だけでなく、別途ウェブ上に個人の好みを詳細に設定する管理画面が用意されている。ウェブの管理画面では、タレント名や企業名はもちろん、「食べ放題」「柴犬」といったキーワードが自由に設定でき、これらのキーワードがSPIDER内の「いつも見る」というメニューの中で検索できるようになる。私は「食べ放題」という検索ワードを毎日チェックするようにし、日々ワイドショーやニュースの1コーナー内で紹介される食べ放題情報を入手している。

　もちろん、こうした検索によるテレビの視聴だけでなく、従来通り番組表から見たい番組を選択することも可能だ。これまでなら「木曜夜のあの番組、面白いよ」と友人が話していても、わざわざ知らない番組を録画設定することなどなかった。しかし今では、「面白いのなら試しに見てみるか」と、先週の放送をすぐにチェックする。また、今までは好きな番組の裏番組など決して見ることはなかったが、意外と裏番組でも面白い番組があることに気が付く。というか、SPIDERを使えば「裏番組」などという言葉は死語になってしまうのだ。

　全くテレビっ子ではなかった私が、今ではSPIDERのおかげで毎日浴びるようにテレビを見ている。「今までテレビを見なかったのは検索できなかったからなんだ」と思わず実感してしまうほど、SPIDERの検索機能は私の生活を変えた。

　これだけ見たい番組が多くなると、次はテレビを見る時間を確保することが課題となる。しかし、そこでもSPIDERの機能が役に立つ。このマシンのもうひとつのいい点は、再生速度が2倍速まで自由に設定できることだ。2倍速でも音質はかなりいい。ニュース番組であれば、アナウンサーがはっきりわかりやすく話しているため、2倍速でも内容が十分把握できる。早口のさんまさんが司会を務める番組は、1.5倍速で大丈夫だ。じっくり見るタイプのドラマでも、つい時間節約のために1.5倍速で見てしまう。1.5倍速でも、生徒に熱く語りかける金八先生の言葉はちゃんと心にしみるものだ。

　1.5倍速でドラマなんて見たくない、でも自宅でゆっくりテレビを見る時間がない、という人は、ロケーションフリー機能を使って移動中にテレビを見ることもできる。SPIDERは、ソニーのロケーションフリー製品や米Sling Mediaの「Slingbox」に対応しているため、こうした製品と組み合わせて使えば、外出先からもSPIDERが利用できるようになる。