着物姿で企業の秘孔を突くドクターに、経営者が集まる理由とは(第9回:本荘修二) - (page 3)

--これまで何度も出てきているのですが、本荘さんのこれまでの活動のキ—ワ—ドは「本荘君。暇?」だと思います。本荘さんを常に見ている人がいることが素晴らしいと思うのですがどう考えますか?

 いやいや。1つ反省があって、もう「暇?」という言葉にはのらないようにしようと思っているんです。

 もちろん、そこから良い経験もしましたし、良い出会いもありましたが、いままではそれで良くても、もう人生折り返し地点です。これからは僕が誰かに「暇?」と言わなければ進歩がないと思うんですよね。

--“自分が誰かに”ということですが、大学で客員教授として授業をもたれているのもこのような気持ちからなのでしょうか?

本荘氏 「ミーティングをするときに、こっちの思っていることのすべてを言わずに若干ずらしてぶつけてみて、相手に『こうですよ』と言わせる隙を作るというやり方は結構使います。ビジネスプランの秘孔を突くというのも同様のことです」

 学校で教えているから、人材開発がいかに重要かを感じるとともに、自分ができることや知っていることでシェアできるものはシェアしたいと強く思います。ちょっとした事を知らないがゆえに、ベンチャーでビジネスチャンスを1年ロスしたという話は沢山あるじゃないですか。労力使わないけどビジネスプランを相談されて、秘孔(ツボ)をピッとついたらうまく行ったという話は今までに何回もありますからね。

--着物をお召しになるのですが、これは海外から帰ってきて日本の文化・慣習などへの気づきからなのでしょうか?

本荘氏 自他ともに和服が似合うと評判の本荘氏

 理由は、凄く単純です。人事コンサルをやっている知人が着物コンサルを開 業し、モルモット顧客になれといわれ、実験台でやられたというのが大元です。

 ただ、びっくりしたのがスーツと着物を着ている自分を見て、どっちが似合っているか一目瞭然なんですよ。これは結構衝撃的でしたね。

--投資先に着物で行き、落語家さんに間違われるという話を聞いたんですが、着物以外に何か日本文化への興味はありますか?

 米国で学校、会社を通してさまざまな国の人と知り合う中で、日本を今からでもじっくり勉強してみても良いかなとも思いますね。文楽などには興味を持ち始めています。

 これまで受け継がれている日本文化の中には何か意味があると思うんですよね。それは理系の人間が謎を解き明かすという気持ちに似ているかもしれません。着物を着ると、やはり日本人だからでしょうか、背筋がビッとしますよね。

--本荘さんはアーユルヴェーダ(インドの健康法)からITそして仮面ライダーやリア・ディゾンのビジネスケース等、幅広い知識をネタとしてもっていらっしゃいますが、頭の中にある本荘メソッドでさまざまな物事を分析しているのでしょうか?

 いや、直感ですね(笑)。理屈は後から付けてくる感じですね。それにしても『仮面ライダー電王』はすごい。

(ここからしばらく仮面ライダーに関する話題が続きました)

「本荘さんといると楽しい」

--老若男女問わず、お友達が多く「本荘さんといると楽しい」という気持ちにさせる本荘さん。肩書きだけをみれば上から目線の人かなというイメ—ジが先行すると思うんですが、必ず本荘さんの周りには良い人がいますよね。人との付き合いの中で心がけていることは何でしょうか?

 どうでしょうね、これはキャラですから(笑)。芸風を今から変えろと言われても難しいですよね。一人で何でもできるわけではないという気持ちが強いのと好奇心が強いのかもしれませんよね。

--ここからはいくつか基本的な質問をさせて下さい。影響を受けた本は何でしょうか?

 歴史小説や歴史マンガですね。三国志(著横山光輝)など。

--尊敬する人はいかがでしょうか?

 昔は諸葛孔明でしたが、今はマンガ『北斗の拳』のトキ(主人公ケンシロウの兄=次男)ですね。ラオウ(主人公ケンシロウの兄=長男)みたいに物事をスパッと切ってしまうよりは、トキのように風のようにかわして急所を撃つというそのスタイルが尊敬できますね。

 ミーティングをするときに、こっちの思っていること+すべてを言わずに若干ずらしてぶつけてみて、相手に「こうですよ」と言わせる隙を作るというやり方は結構使いますからね。ビジネスプランの秘孔を突くというのも同様です。

--なるほど、ケンシロウではなくトキですか。言われてみれば分かるような気がします。では、最近はまっている趣味はありますか?

 ワインですかね。あれは趣味から脱しないと。いい加減ストップをかけないと、ワインの値段はピンキリですからね。カリフォルニアワインが好きですね。最近はオレゴンのワインにはまっています。

--現在教えるという立場から、多くの人に起業家になってもらいたいという思いはありますか?

 向いている人にはなってもらいたいし、向かない人には別の道にいってもらいたい。

 日本社会はアントレプレナーシップを失わせたりくじくところがあるから、それを育むことは不可欠です。しかし、起業の熱だけを学んで卒業した人はそのあとが大変なんですよ。「頑張ります!」と世の中に出ていくけどこけてしまう。アントレプレナーシップは「起業して、頑張ります!」ということではないので、カリキュラムを考える必要があるんでしょうね。

--最後になりますが、僕は本荘さんを仙人ではないかと思う時があります。自分を表現するのに適切な言葉は何だと思いますか?

 大企業とベンチャー、技術とクリエティブという壁をすりぬける透明人間ですかね(笑)。

Venture BEAT Project
こだまん(児玉 務)

1997年日本アイ・ビー・エム入社。ベンチャー企業との協業、インターネットプロバイダー市場のマーケティングを経て、2000年よりナスダック・ジャパンに出向し、関東のIT企業および関西地区を担当。帰任後は、IBM Venture Capital Groupの設立メンバーとして参画し、その後退職し米国へ留学。パブリックラジオ局(KPFA)での番組放送の経験を得て帰国後の現在は、「“声”で人々を元気にする」をモットーにラジオDJ、イベント司会、ポッドキャスティングの分野で活動中。「Venture BEAT Project」プランニングメンバー。好きな言葉は「アドベンチャー」。

ブログ:「Edokko in San Francisco 2007

趣味:タップダンス、ビリヤード、会話、旅、スペイン語

特技:アメリカンフットボール、陸上競技100m

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