「現時点では、ODFは、客観的な技術上の理由から選ばれているというよりは、反Microsoftの姿勢を示す戦略的手段として選ばれていると見るべきだ」と報告書は記している。
国際標準化団体OASISが策定したODFは、政府系の組織にとって重要な認定基準である国際標準化機構(ISO)の標準として承認されている。
一方のOOXMLは、MicrosoftがISO承認を取得しようと取り組みを続けている段階だ。ただし、もう1つの標準化団体Ecma Internationalでは、OOXMLはすでに標準規格の認定を受けている。ISOは、OOXMLの技術的事項に関する重要な調停会議を2月後半に開催することにしており、その結果がOOXMLがISO標準になるかどうかの鍵を握ると見られている。
報告書は、Novell、IBM、Sun MicrosystemsなどのベンダーがODFを支持しているのは、主として、XMLベースの文書フォーマットに対するMicrosoftの影響力を弱めるという競争戦略によるものだと分析している。また、OpenOfficeオープンソースプロジェクトを立ち上げたSunが、その後も技術開発に主要な役割を果たしていることも指摘している。
一方、MicrosoftがOOXMLを開発したのは、自社の経済的利益のためであることは事実だが、同時に、政府系組織に受け入れられるには標準化と相互運用性がきわめて重要であることを、Microsoftは理解している。
報告書は事実、1つの重要な警告を発している。それは、Microsoftは自らの公約を果たし、OOXMLを他のベンダーや顧客からの意見が反映された標準規格にしなければならないということだ。
「Microsoftが標準化への流れを悪用するなら、市場はすぐさま厳しい反応を示すだろう」と報告書は予測している。
一方、ODFを支持する弁護士のAndrew Updegrove氏は、欧州連合(EU)がMicrosoftの反トラスト法違反に関して新たな調査を始めると、現地時間1月14日に発表したことを受けて、この発表がOOXMLの標準認定を目指す同社の取り組みにマイナスの影響を及ぼす危険性を指摘している。この調査では、OOXMLがODFなど他の競合製品と「十分な相互運用性を実現」しているかどうかも検討されると、Updegrove氏は自身のブログに記している。
Updegrove氏の見解では、ODFにネイティブな対応をとらず、サードパーティーのプロジェクトに依存するような形をとれば、相互運用性が不十分だと見なされる可能性があるという。
「マサチューセッツ州で2005年にODFが採用されて以来、MicrosoftはOOXMLだけに固執することによって、非常に危険な綱渡り的行動を続けてきた。今やこうした戦略はリスクを高めるだけのように思える」とUpdegrove氏は記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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