弊社が調査したところ、日本で最も利用されている「Yahoo! JAPAN」の検索結果では、オーガニックサーチの検索結果がクリックされる率が52%なのに対し、検索連動型広告のクリック率は38%となっており、どちらか一方だけの対策を行なっただけでは、不十分であることがわかっています(バナー広告をクリックしたり、検索結果をクリックしないといった人も10%程度います)。
また、どんなに覚え易くて入力し易いキーワードを選んだとしても、指定したキーワードが100%の確率で検索されることは難しいと言えます。そのため、誘導広告で指定したキーワード以外にも、想定される勘違いやうろ覚えキーワードに対して検索結果に広告が表示させるような対策をしておくことが必要です。
試しに、1つ例を出してみましょう。本年4月21日から放送された富士通のテレビCMでは、「原始人その後」というキーワードで検索を促していましたが、実際にそのテレビCMを観た人が検索したと思われるキーワードは以下の表のようになります。
いかに検索されるキーワードが揺れているかお分かりいただけると思います。
なお、正しいキーワードに比べれば、勘違いやうろ覚えのキーワードは微々たる検索数だと思われた方もいるかもしれません。しかし、せっかくウェブサイトを見てみたいという高いモチベーションで検索してくれたユーザーがサイトにたどり着けなかったり、検索しても見つからないという悪評が広がることを考えれば、間違えて入力した際にもウェブサイトにたどり着けるようにしておくことは決して無駄なこととは言えないはずです。
最後に、ウェブサイトについてですが、マス広告で検索を促した場合には以下の3点を意識する必要があるでしょう。
・再現性
ウェブサイトで検索のきっかけとなったテレビCMやポスターなどの誘導広告が見られることを期待して検索するユーザーも存在します。そのため、ウェブサイトでは広告素材を閲覧できるようにしておくことも必要です
・必然性
インターネットならではの双方向性を活かしたコンテンツがなければ、わざわざウェブサイトへ誘導する必然性がありません。特に社名や商品名以外のキーワードであった場合、ユーザーはウェブならではの面白いコンテンツがあることを期待しています
・連動性
誘導広告とウェブサイトのコンテンツに連動性がなければ、ユーザーに検索してまでサイトに訪問させる意味がなく、ユーザーを失望させます
要するに、プロモーション全体を俯瞰して戦略を立案し、細部の戦術に落とし込むことが重要になりますが、このあたりは観念的で具体性に欠けるため理解しづらいと感じるかもしれません。そこで、次回は筆者がうまいプロモーションだと感じた実際の事例をモデルケースとしつつ、具体的な説明を加えていきたいと思います。
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