英情報通信庁(Ofcom)が「デジタルディビデンド(デジタルの配当)」の一環として無線周波数をオークションで割り当てる計画を発表した後、Googleが英国において周波数オークションに入札するのではないかとの憶測が出ていたが、Googleはその憶測についてコメントすることを拒否した。
「デジタルディビデンド」という用語は、今後5年間でアナログテレビとアナログラジオが終了してデジタル放送に置き換えられるときにその無線周波数を開放することを指している。
英国における電気通信の監督省庁であるOfcomは現地時間12月13日、英国でアナログテレビとアナログラジオの放送終了にともなって今後数年間に利用可能になる周波数帯を切り分けて販売する方法についてその詳細を発表した。この周波数帯は無線ブロードバンドから高品位(HD)テレビ放送まで、さまざまな方法で使用できる可能性がある。
オークションは2008年後半および2009年に実施される予定。
Googleの無線周波数帯をめぐる計画についてはさまざまな憶測がなされてきた。同社は現在、米国において同様のオークションに入札する準備を進めている。その結果次第ではGoogleが米国において無線ブロードバンドの事業者になる可能性もある。
しかしGoogleの関係者によると、米国のオークションに関する規則のために、Googleは英国でも周波数帯のオークションに入札する意志があるかどうかについて明かすことができないという。
「連邦通信委員会(FCC)による周波数オークションを規制している連邦法によって、当社は世界のあらゆる場所における周波数戦略についてコメントすることが禁じられている」とGoogleの関係者は米国時間14日に述べている。「他の入札に影響を与える可能性のあることは何もコメントすることが許されていない」(同関係者)。
しかし同関係者はFCCのオークションは2008年1月に実施される予定なので、その後にはもう少しコメントできるかもしれないと述べている。
英国のデジタルディビデンドでは470MHzから862MHzにわたる最大320MHzもの周波数帯が開放される可能性がある。そのうちの112MHzは明確に規定されたチャンネルによって構成される「クリアドスペクトラム」として開放され、一方、最大208MHzが「インターリーブドスペクトラム」の形態で利用できるようになる可能性がある。「インターリーブドスペクトラム」は複数のテレビ送信機の間の干渉を防止するために使用されない周波数を指し、地理的なバッファの役目を果たしている。
オークションはいわゆる技術的に中立な原則で実施される。つまりOfcomは周波数の使用目的を問わないということだ。この原則の唯一の例外は、番組制作会社やイベント主催者が主として無線マイクのために使用する周波数である。デジタル無線マイクは遅延が大きすぎるため、このような用途ではアナログを使用せざるを得ない。この周波数帯は最も高額な入札者ではなくてOfcomの言うところの「人気投票」によって決定される。
Ofcomの関係者は14日、開放されるインターリーブドスペクトラムは、ローカルのテレビ放送だけでなく急成長しているコグニティブ無線の分野においても興味深い用途が考えられると述べている。コグニティブ無線は空いている帯域を検知して通信するものであり、無線ブロードバンドでの発展が有力視されている技術である。Ofcomの関係者によると、コグニティブ無線は「ダウンタイムを活用できる」ことから周波数の全体的な利用効率を高めてくれるため、Ofcomはコグニティブ無線が周波数帯を勝ち取ってくれることを期待しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」