仮にDellが消費者製品企業となり、AppleやHPと競争したいと考えているのであれば、同社は消費者向けガジェットを製造する必要がある。「(Dellは)単なるPC企業ではいられない」とNPD Groupの業界分析担当バイスプレジデントであるStephen Baker氏は述べる。また、プリンタやインク事業もさほど重要ではない。「(Dellが)単なるPC企業から脱皮し、(消費者向けガジェット)市場の一員となるためには、最先端でコンバージェンスなHDコンテンツ型製品が必要だ」(Baker氏)
Dellは決して、新しいフォームファクタやデバイスカテゴリを試すことに反対だったわけではない。現にDellは間もなく、同社初のタブレットPCを発売する。また最近、一体型デスクトップPC「XPS One」を発表し、固定化していたデスクトップ製品群を刷新した。またDellは、テレビ、携帯型音楽プレーヤー、家庭用音楽プレーヤーなど、家庭用電化製品を発売したこともある。
たしかに同社はそれらの家電市場からは撤退したが、テレビ市場から撤退する必要はなかったと言う人もいるだろう。「(Dellは)テレビ市場に留まるべきだっただけでなく、(大半の企業よりも)早期にテレビ市場に参入した。しかし、同社の参入は失敗に終わった」とBaker氏は語る。結局、Dellの液晶テレビは他の家電メーカーの製品と競合できるほど安くなく、同社はDellブランドのテレビの製造を断念した。「状況が厳しくなり、Dellは(テレビに対する)関心を失った」が、仮に同社がテレビ市場に留まるか、あるいは参入当初からより優れた戦略があれば、同社は成功していたかもしれない、とBaker氏は語る。
・以上の理由から、今はDellが出直すには最適な時期だ。華やかなデザインの電子機器を適正価格で販売すれば、Dellがいかに消費者を理解しているかの証明になる。今、特に互いに接続可能なコンバージェンスデバイスが次の最先端分野である世界では、ガジェットに対する消費者需要はかつてないほど高まっている。Zingから取得した(無線で音楽を共有したり、ダウンロードする際に使用される)技術は、そのような端末に容易に組み込み可能だ。そして今やDellは、小売業界の全く新しい存在であり、今後はBest BuyやWal-Mart StoresなどDell以外の小売企業の顧客からも注目される可能性がある。
タイミングがすべてであるのは当然である。Dellが2008年のCESで述べることに注目した方がいいだろう。同社はCESで複数の新製品群を発表する可能性がある。同社は手元にひそかに何かを用意しているかもしれない。しかし、それが何であるかはまだまったく分からない。「ハンドヘルドであるとは限らないが、新天地に向かう必要がある」(Baker氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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