「1年後、PEZは完全に本業になった」とDoss氏は話す。「毎月コンピュータの販売台数が減り、PEZを売る数が増えていった。12年前からコンピュータは1台も売っていない」
展示物がそもそも小さいおかげで、本当に小さなスペースだが、PEZ博物館は今や、色であふれている。どこを見ても、赤、黄、青、緑とにぎやかだ。Elvis Presley、フランスの人気コミックシリーズ「Asterix」、米国のコミック「ピーナッツ」、フランケンシュタイン、「スター・ウォーズ」シリーズなどのPEZがずらりと並んでいる。
ギネスに認定された世界最大のPEZディスペンサーもある。
「PEZ」という名前がどこから来たのか、疑問に思ったことはないだろうか。その答えもPEZ博物館にある。同博物館に行けば、PEZという語が実際は「pfefferminz」の省略形だということがわかる。これはペパーミントを意味するドイツ語で、PEZキャンディのオリジナルフレーバーを表している。PEZキャンディは、当時も現在もオーストリアの企業Pez Candyが製造しているが、発売当初はペパーミント味しかなかった。
当時の状況をもう少し書くと、PEZは1927年から1950年まで、小さなブリキ缶に入ったものしかなく、「Altoids」(英国のSmith Kendonが18世紀後半から製造したはっかトローチ)の20世紀版だった。
そして1950年、Pez Candyはキャンディを小さなプラスチック容器に詰めて売り始めた。最初の8年間は、現在われわれが慣れ親しんでいる頭の部分がなかった。だが1958年、同社は頭付きのPEZキャンディを3種類売り出した。それが、「ミッキーマウス」、「おばけのキャスパー」、そして「ポパイ」だ。
こうして、PEZディスペンサーのタイアップマーケティングの長い歴史が始まった。これまでにその頭を飾ったものには、フランケンシュタインや「ドナルドダック」、スター・ウォーズの多彩なキャラクターや、Elvis Presleyをはじめとする有名人、リアリティー番組「American Chopper」の出演者などがある。
Doss氏によると、American Chopperシリーズは、存命中の人物をモデルにした唯一のPEZディスペンサーだという。しかし、Pez Candyが、栄えある存命中の人物シリーズの第1号にAmerican Chopperの出演者を選んだ理由は、筆者にもDoss氏にもわからない。
筆者が館内を見て回っているときに、カリフォルニア州パサデナから来たという60がらみの夫婦が入ってきて、筆者と同じ館内ツアーに加わった。2人は、自分たちが目にしているものに感動した様子で、Doss氏が説明するPEZの重要な節目を、eBayの逸話も含めて数多く覚えているようだった。
筆者は、彼らに博物館の印象を尋ねてみた。
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