ニワンゴ技術責任者が語る、「ニコニコ動画」成功の鍵 - (page 2)

永井美智子(編集部)2007年11月19日 08時30分

 ただし、ここまでニコニコ動画が人気を集めるようになったのは、ニワンゴでも想定外だったようだ。「2ちゃんねる管理人の西村博之さんが参加してくれたり、2ちゃんねるの閉鎖騒動があったり、たまたま社内でYouTubeのようなサービスを開発していた人がいたりと、いろんなラッキーが重なった」

 「なぜこんなにうまく行ったかと聞かれて、一言で答えたいけど、結局は日々の努力だと思う。地道にやるしかなくて、後はラッキーが待っているだけ。ニコニコ動画の人気がこれから先もずっと続くかは分からないし、新サービスも当たるか分からないけど、とにかく良いものを作っていく」

面白いからがんばる“オタク性”

 溝口氏はニコニコ動画のようなサービスを開発する上で求められる人材像についても触れた。ドワンゴという会社がネットワークゲームのミドルウェア開発から始まり、着メロや着うた、ニコニコ動画へと注力事業を移している点を挙げ、「節操がないので(笑)、面白そうなことなら何でもやる人、面白くないものでも面白さを見つけてしまうような人がいい」と話す。

 「要はオタク。面白いからがんばっちゃう」

 感覚としては、ロールプレイングゲームで主人公のレベルを上げている状態に近いという。「新しいことを覚えるのも、成長するのも楽しい」

 また、自分が好きなことをやるだけではなく、「ハッカー的サービス精神」が必要とのことだ。「例えば不具合を見つけたらそれを教える。さらには自分でパッチまで作って送っちゃう。かなりおせっかいだけど(笑)、そういう姿勢があればすばらしい」

 溝口氏がドワンゴに参加した1998年当時、社員はまだ5名しかいない「怪しいベンチャーだった(笑)」という。現在は社員数が500名を超え、東京証券取引所第一部に上場する大手企業だが、「ニコニコ動画もベンチャー的に始めた」といい、その風土はまだ残っていると話す。

 「ベンチャーって、特に勢いがあるところは仕事が山ほど降ってくる。自分で能力を高められる人には、経験値稼ぎにもってこいの環境だ。大きい企業でも、ベンチャーの風土を残している企業はいっぱいある」

 溝口氏は「自分自身、9年前はひよっこプログラマーだったけど、仕事をやっていくうちにできることが増えてマネージャーになった」と振り返り、「株式公開して、それまでタメ口で喋っていた(川上)会長がお金持ちになったりするのを見られるのは面白い。ドワンゴに入って本当に良かったと思う」と話し、ベンチャー企業やベンチャー精神を持つ会社で経験を積むことでいち早く成長できると魅力を語った。

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