NRI、金融業向け好調で株価も上昇加速へ

 野村総合研究所(NRI)の株価が反転上昇の兆しを見せ始めている。2008年3月期の9月中間期連結決算を発表したのがきっかけだ。株価反転上昇の背景と同社の今後の業績動向および株価について探った。

 NRIは10月25日、2008年3月期の9月中間期連結決算および2008年3月期の通期業績の上方修正を発表した。売上高は1651億円(前年同期比12.8%増)、営業利益274億円(同31.5%増)、経常利益293億円(同30.4%増)、純利益183億円(同36.0%増)となる二桁の増収増益だった。

 さらに、7月下旬に期初予想の285億円を335億円に上方修正した純利益について、今回さらに350億円への再増額を明らかにした。2度の上方修正で期初に比べて65億円の増額となった。

 これにより2008年3月期通期の連結業績は、売上高3550億円(前期比10.1%増)、営業利益550億円(同25.3%増)、経常利益580億円(同25.8%増)、純利益350億円(同29.5%増)となる見通しだ。

 主力のITソリューション事業で主要顧客となる証券会社をはじめ、銀行、保険会社など金融サービス業向けの開発案件、加えて官公庁向けの開発も順調に拡大。開発・製品販売は740億円(前年同期比25.2%増)と伸びた。運用サービスも、金融サービス向けをはじめ、主要流通顧客向けのシステム運用も堅調で690億円(同12.5%増)となり、ITソリューション事業全体では売上高1513億円(同13.7%増)、営業利益259億円(同38.7%増)となった。

 外国証券の情報ソフト関連企業担当のアナリストは「来期の2009年3月期も引き続き金融向けを中心に需要が好調に推移する可能性が高い」としている。証券会社、銀行、民営化した郵政関連、さらにはイオングループ、7&iホールディングスも新たに銀行を立ち上げており、システム開発に加え運用サービスの需要も拡大することになりそうだ。

 また、系列のホールディングス会社である野村ホールディングスが、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で、今年1〜9月で1456億円の巨額な損失計上を発表したことについて、市場関係者は「野村はすでにサブプライムローンからの撤退を明らかにし、売却による実現損を公表しており、今後損失額が大幅に増加する懸念はない。したがって、野村グループとしてもIT(情報技術)関連投資を急速に絞り込むことは考えにくい」としている。

 NRIの株価は、全般相場の乱高下に左右されることなく、好調な業績を反映するかたちで、年初来安値をつけた5月25日の3100円を底に、5カ月以上下値切り上げ型の上昇相場を続けている。直近も10月23日の安値3650円を底に、25日の好調な9月中間期の発表を支援材料に着実な浮上を続け、10月30日には4150円まで買い進まれた。

 現在、連結PERは25倍水準と割安感はないものの、業績の順調な拡大を反映して中期的には株価が5000円台に乗せていく期待は十分に持てそうだ。

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