カーネギーメロン大学ヒューマンコンピュータ・インタラクション研究所の所長を務めるDan Siewiorek氏は、レンタカーを借りた仲間がトヨタの「プリウス」について「普通の車」である点が良いと言っていたのを聞いて、夫人とともに試してみることに決めたという。
だが、エアコンのコントロールボタンを探してプリウスの双方向ダッシュボードをイライラしながら数分間いじった後、Siewiorek夫妻は、レンタカー取扱店にプリウスを返して標準モデルに交換してもらった。
「慣れるまでに時間がかかるという問題ではなく、見知らぬ場所を運転するのに、これでは危険だと思ったからだ」とSiewiorek氏。
Siewiorek氏は前にも一度、駐車する場所がないサンフランシスコで別の新モデルのレンタカーを運転中に、デフロスターが見つからなくて落ちつかない思いをしたことがある。「1、2秒でも道路から目を離せば、進路がずれて、とんでもない状況に陥ってしまう。車は、きわめて簡単に直感的に操作できるものでなければならないと思う。特に、交通の流れに反応することを求められるときは、素早い決断をくださなければならないのだから」とSiewiorek氏は語った。
こんなふうに新しい自動機能が増えている以上、使いこなせるようにドライバーをサポートする新たな方法が必要であることは、自動車メーカーも認識しているという。だが、車の自動システムを開発するエンジニアにとっては常識と思えることが、平均的なドライバーにとっては直感的に理解できるものではない可能性があると、Siewiorek氏は指摘する。
多くの自動車メーカーは、音声コマンドや音声信号を試験的に導入している。「下にさげてから左に動かす」とか「90度右に回す」といった操作をドライバーが身体で覚えられるようにダイヤルを用意したり、よく見えるようにダッシュボードの上方にコンピュータ画面を配置したりといった対策もとっている。
それでも、ドライバーによってはセットアップが手に余る可能性はある。車載コンピュータ分野は、カーディーラーやBest Buyの技術サポート部門Geek Squadのようなコンピュータの修理スタッフにとって、次世代のサービス市場になるのだろうか?
CompUSA TechProで一連の電子機器設定サービスを提供しているCompUSAでは、こうした可能性について検討していると、同社の技術サービス担当ディレクターのMark Gertenback氏は語る。
だが、いまのところ、富裕層向けとしてさえこうした構想は実現していない。ビバリーヒルズの「Mercedes-Benz」代理店は、販売用とリース用の車の両方に対して、必要なソフトウェアのアップデートをすべて行っているが、個人のニーズに対応した自動システムの完全セットアップといったサービスは、今のところ提供していない。
「引渡し時に優待サービスとして、車の説明をしている。時間をかけて顧客に機能を説明し、プログラム方法やナビゲーション機能の利用法、好みに合わせてカスタマイズする方法を案内している」とビバリーヒルズのMercedes-Benz代理店の技術サービスマネージャー、Sam Dalati氏は言う。
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