新世代機(次世代機)と呼ばれる据え置き型ゲーム機が出そろって約1年。ゲーム業界の変革は収まるどころか、今なお大きなうねりをともなって進んでいる。
ワールドワイドの市場規模だけでいえば、先行していたXbox 360(全世界累計:約1270万台、以下括弧内すべて)をWii(約1300万台)が追い抜き、当初本命と目されたPLAYSTATION 3(約530万台)がその後塵(こうじん)を拝しているという状況だ。
特に「ゲーム人口の拡大」を最大のテーマと掲げた任天堂プラットホームの伸びは、これまでのどんなゲーム機の普及ペースよりも早い、異質なものとなっている。
ソフトウェアパブリッシャー、デベロッパーにとっては、ニンテンドーDSの登場以降、急激に裾野が大きく広がった家庭用ゲーム機市場へどのようにリーチをしていくか、模索が続いた1年だったといえる。
また、先日発表された「Wiiウェア」の登場により、据え置き型ゲーム機3機種すべてでソフトウェアのダウンロード販売が標準となった。
これは、任天堂が「ファミリーコンピュータ」で確立した、ソフトウェアのパッケージ販売と「ソフトウェアパブリッシャーがゲームソフトの製造をハードウェアメーカーに委託し製造費を支払う」というライセンスビジネスの、2つのビジネスモデルに新たな柱が加わったことを意味している。
ダウンロード販売が標準となることにより、ユーザーは欲しいタイトルを好きな時に購入することが可能となった。これは、ソフトウェアメーカーにとってワールドワイドで機会損失のない新たな販路といえる。
ユーザーからの視点では、携帯型、据え置き型共にネットワークを利用するのが一般的となり、「ゲーム+コミュニケーションができるツール」との認識が広がっている。ヒット作を生むためにはコミュニティ要素をもりこむのが必須になりつつある。
リアルな友人知人とのみ共有されていたゲーム体験がバーチャルの中でも行われるようになったということは、プラットホームの魅力が「ゲームの質と量」から「ゲームの質と量と共有体験」に変化したということだ。一緒に遊べる仲間は多ければ多い方がいい。つまり、ハードウェアの市場規模がユーザーの利益(=面白さ)に直結するようになった。PCのオンラインゲームやソーシャルネットワークサービス(SNS)などの、ユーザーそのものがコンテンツとなる状況が家庭用ゲーム機にも入ってきたのだ。
このように、ユーザー層、プレイスタイル、ビジネスモデルなど、ゲームを取り巻く世界が全てにおいて多様化している今、各メーカーは世界中のゲームプレーヤーへ向けてどのようにリーチしていくのか。そして、その先にどのようなエンターテインメントの世界を描いているのか。
今回、CNET JapanとGameSpot Japanは、ゲームメーカーのキーパーソンへ上記の質問をぶつけた。そしてそれを「多様化するゲーム世界――作り手はどこを目指すのか」と題した特集記事として、約1カ月にわたって掲載する。
特集のタイトルで用いている「作り手」という言葉は、ゲームソフトを制作する作り手という意味ではなく、もう少し広義――それはビジネスモデルやブランド、さらには市場そのものを作り上げる人々――の意味として用いている。
多くの人々が愛してやまないゲームの世界は、今後どのように変革をしていくのか。そして、そのとき我々は、どんなゲームを愛しているのだろうか。
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