ヤフー、22%営業増益発表も翌日ストップ安の背景

 ヤフーは10月24日の引け後、2008年3月期の9月中間期の連結決算を発表した。

 主力の広告事業の好調などにより、営業利益は前年同期比21%増の597億円と大幅増益を達成した。ところが、翌日25日の東京株式市場でのヤフーの株価は、朝方から大量の売りを浴びて売り気配でスタート、終値は前日比ストップ(5000円)安の5万800円まで売り込まれる波乱の展開となった。

 好調な決算を発表した翌日の株価がなぜストップ安となったのか、その背景を探った。

 同社の9月中間期の連結決算は、売上高1058億円(前年同期比13.5%増)、営業利益590億円(同21.7%増)、経常利益588億円(同19.9%増)、純利益298億円(同4.6%増)と、2ケタの増収増益を達成した。主力の広告事業では、ブランディング効果の高い商品や行動ターゲッテイング広告など広告主のニーズに応える商品の販売に注力したことにより、ディスプレイ広告が順調に売上高を伸ばした。さらに、検索連動型広告も品質インデックスと入札単価を考慮した広告掲載を開始したことにより、売上高を大幅に伸ばした。これにより、広告事業の売上高は540億円(前年同期比27%増)となった。

 ビジネスサービス事業では、商品ラインナップの充実、掲載件数の伸長により「Yahoo!不動産」の売上高が大幅な伸びをみせた。「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!オークション」ではストアの新規獲得に努めた結果、9月末現在のストア数は合計2万9436店舗と前年同期末と比べ7132店舗(32%増)と拡大し、テナント料および手数料も順調に拡大した。

 パーソナルサービス事業では、「Yahoo!オークション」の取扱高が伸び悩んだことに加え、ストア数の増加によってBtoCオークションの割合が高まったことなどにより、システム利用料収入は横ばいとなり、この部門の売上高は355億円(前年同期比0.7%減)となった。

 ただし、東証マザーズ市場に上場しているバリューコマース(ヤフーが44%強出資)の株価下落に伴い、株式評価損36億3300万円を特別損失として計上したことにより、純利益は前年同期比9.2%増に止まった。

 さらに同社は、2008年3月期の第3四半期(2007年10〜12月)の連結業績について、売上高684〜708億円、営業利益297〜311億円、経常利益293.5〜308億円、純利益166〜175億円と予想している。

 こうした好調な中間決算を発表したにも関わらず、なぜ翌日の株価がストップ安まで売り込まれたのか。

 市場関係者は「新興市場を含めIT・ネット関連銘柄の株価が急ピッチで反転上昇する地合いとなっていた。こうした中で、ヤフーの株価も9月18日の安値3万9200円から10月23日の高値5万9000円まで、1か月余りの短期間に50%も上昇していただけに、決算の結果が好調といえども、想定の範囲内に止まったため、好材料出尽くしで利益確定の売りが一気に噴出したようだ」としている。

 さらに、今回のヤフー中間決算と今後の業績動向に対する証券会社のアナリストの判断に厳しいものが多かったことも、株価下落の要因となったようだ。

 三菱UFJ証券では「7〜9月期の売上高と営業利益は概ね三菱UFJ証券予想通りでサプライズなし。10〜12月期は広告の商品の入替による端境期と考える。中期的に強気な見方を継続」とし、目標株価を5万5800円としている。

 一方、クレディスイス証券は「2008年3月期第2四半期の決算を発表。業績の第一印象は、第2四半期の業績結果はまずまずであるが、会社ガイダンスはネガティブ。このところの株価上昇もあり、株価は下落する可能性がある。ただ、セクター全体へ期待感は依然として強く、大幅な下落はないだろう」としており、目標株価は4万6000円としている。

 また、ゴールドマン・サックス証券は「さらなる株価上昇にはディスプレイ広告の再加速基調を確認する必要がある」として、目標株価の5万円を達成したことに伴い、レーティングを従来の「買い」から「中立」に引き下げた。このほかにKBC証券、JPモルガン証券などアナリストの投資判断格下げの動きも目立った。

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