では、気になる音質を検証していこう。初めに結論。やっぱり音はいい。とにかくこちらが何の努力をせずとも、置いただけで、ロックもジャズもポップスも、曲の持つ魅力をとてもバランスよく聴かせてくれる。あまりに心地良いので、次々と曲をかけ続けてしまった。今回の試聴は多種に渡るがご容赦を。
まずは、現在「iPod」CMでオンエアされているカナダ出身の女性ボーカルfeistの「1234」。
柔らかでつやっぽく、少しエコーがかかったフレンチっぽいボーカルの雰囲気がよく出ている。机の上に置いて、ニアフィールドで聴くと、サウンドステージもしっかりできあがる。
バックのバンジョーの音が、センターにいるボーカルに絡んでくる。さらにその奥にスナップ音がキレイに並んでいる。アメリカの田舎のバンドをバックにフランス人が謳っているようなムードがうまくできているのだ。
バックに男性のコーラスが重なるのも非常に良く伝えている。このサイズで、左右だけでなく、前後のサウンドステージを作ってしまうのは驚きだ。
ついで、ジャズ。ベース界の重鎮Ron Carterの「イッツ・ザ・タイム」。伊藤園「TULLY'S BARISTA'S SPECIAL」TVCM用に作られたベース、ピアノ、ギターというトリオ編成の楽曲だ。
ウッドベース特有の太く広がる低音は、このシステムにぴったりだ。低域を心地よく支えて、ギターもハーモニーを重視したジャズ独特のやわらかく丸みのある音色で、心地よい余韻が聴ける。ベースとギターで和音を支えて、その上にピアノが旋律を軽やかにのせていく。
せっかくだから、もっと精密に音を試そうと思い、iTunesでロスレス録音して聴いた。ロスレスならでの、きらびやかなピアノの感じが大変よく出ている。128MbpsのMP3とロスレスでも比較してみたが、ロスレスのほうが輪郭がキリっとしていて、分離感がよくでてくる。ソフトの圧縮の違いが出せるのは、精緻なハイファイサウンドだからだろう。
同じコーヒーCMつながりで、Peter, Bjorn & Johnの「ヤング・フォークス/Young Folks」を試聴した。一度聴いたら忘れない口笛が印象的な曲で、サントリーの「BOSS LEGEND」のCMで使われている。
白日夢の世界に入っているような浮遊感のある曲の世界がパッと現れる。男性ボーカルと女声ボーカルが入れ替わり、エコーやリバーブの強さが変化するのもきっちりわかる。
リードパートが前面に出てくるから、音の空間に奥行きがでてくる。されに、リズムの刻みに使われているのがマラカスということも判明。曲の持つ魅力を伝えながら細部までよく見えてくるのだ。
最後にパワーあふれるロックを聴いた。ここまで来たらCMネタでPRIMAL SCREAMの「Rocks」をチョイス。ソフトバンクモバイルのCMでブラッド・ピットが路面電車に乗り遅れるときに使われている曲だ。
ベースが生々しい。エレキベースの弦が揺れている感じまで出てくる。異なるリフを刻むギターが左右に分離し、エネルギーの固まりになって迫ってくる。サビの部分では、バンド全体がひとつの音のエネルギーの固まりとなって前面に押し出してくる。
いずれのジャンルでも、音楽の中で一番美味しい部分を、美味しく料理してくれる。ボーカルはセンターに一歩前に立ち、ジャズでは、それぞれのリードパートが流麗に入れ替わる。ロックの力強いエネルギーも再現できるし、ポップスの美しいハーモニーも埋没させずにきれいに溶け込ます。
さらに、今回のモデルでは、背面にステレオミニの入力も1系統備えている。そこで、PCやiPod以外のデジタルプレーヤーでも、視聴してみた。
PC、デジタルプレーヤーともケーブルを通してしまうため、純粋な音質は少し落ちる。iPodを直接挿していたいときに描かれていたサウンドステージが、少し曖昧になってしまうのだ。また、PCでは、PCの出力レベルがもともと小さいこともあり、フルボリュームまであげて聴くことになってしまった。
もちろん、それでも、普通のPCスピーカーなどに比べれば圧倒的に音質がいいのだが、やぱりiPodの世界があまりに素晴らしかったので、どうしても見劣りしてしまう。
また、部屋の音響がライブかデッドかで違いは出るが、あまりコーナーには置かないほうがいいかも。低域がタブついて、せっかくのクリアで明解な輪郭が濁ってしまう。せっかくのポータブルだから、背後にスペースのあるところにポンと置けばいい。それだけで、一番いい音で聴ける。
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