多くの点からみて、これは残念なことだ。いつか、通信キャリアに束縛されている今の時代を馬鹿馬鹿しく思い返す日がやって来るだろう。もし、契約するケーブル会社やDSLプロバイダーがユーザーの購入するパソコンを指定したり、さらにその後、そのパソコンを米国内や海外のサービスが提供されない地域に移動させたらインターネットにつなげなくなったりする、そんな事態など想像できるだろうか? しかしこれが、既存のシステムの中で画期的な変化をもたらそうと取り組むと、革新には難色を示しがちな既存の無線キャリアの影響力が立ちはだかるという、何度も繰り返されてきた携帯電話業界のジレンマだ。
Appleが正式にSDKをリリースするまで、そしてリリース後も、非公式なハッキング活動は続くだろう。なぜなら、AppleがAT&T以外のキャリア向けのバージョンをリリースする日まで、iPhoneのロック解除への需要はあると考えられるからだ。Appleは他のアプリケーションに対していつかはiPhoneを開放しなければならないことはわかっている。ゆえに、AT&T、O2、Orangeやその他のiPhone独占提携企業と契約する意向が全くない層にもiPhoneを売り込むべく、決断を迫られる日は来るはずだ。
だが、今のところはそこまでの段階には達していない。iPhoneとサードパーティーアプリケーションに関する全ての大騒ぎが始まって以来、私の頭にはある思いが繰り返し浮かぶ。それは、社会として見た時、われわれの興味関心がほんの一瞬しか持続しなくなっているということだ。人々はiPhoneが欲しいだけでなく、やってみたいと思ったことがすぐに実現しないと満足できない。そして、そうした刹那的な満足感が得られないと、悪意を持った大メーカーが自分を侮辱しているように感じ、こんなものは全くだめだと言って叩きにかかるのだ。
確かに、こんな不満を言うへそ曲がりが私以外にも3800万人はいるということくらい、自分でも分かっている。しかし、コンピューティングの新時代が花開くまでには、時間がかかるのだ。今では話題の機器をポケットにいれて運べるようになったものの、それを抜かせば、まるで1980年代に戻ったようだ。ガジェット好きや生産性向上で頭が一杯の管理職だけでなく、本当の意味での一般ユーザーが、いつでもどこでも使えるインターネットや、広義のコンピュータの力を利用してできることの可能性に気付きはじめている。
iPhoneそのものは、われわれを目指す未来に連れて行ってくれる機器ではないかもしれない。だが、現在市場に出回っているどんな製品よりも、その目標に向って議論と開発を活性化させるために多くの貢献をしている。2008年以降は、今よりずっと面白いことになりそうだ。特にAppleが重い腰を上げ、現在iPhoneに採用されているEDGEよりもはるかに広帯域の接続が可能な3Gネットワークの採用を決めてくれれば、その世界はぐっと広がるはずだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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