シーエー・モバイル専務の小野裕史氏。注目される急成長モバイルビジネス集団の若き経営幹部は、IT業界の中でもとりわけ異色な経歴を持つ。
宇宙について研究を始めたかと思えば、その次は生物、そしてIT。いずれにおいても抜群の才能を発揮する一方、2〜3日は徹夜でゲームをやり続けてしまうという現代っ子。初めて会った人の中には、「変な人か真面目な人か分からないけど、確かなのはすごい面白い人」という掴みどころのない一面も併せ持つ。
幼少期は内向的で本の虫だった小野氏を、興味の赴くままに、さまざまな世界へ飛び込ませる原動力になったものは何か――。支えたのは、上京前に決意した「より高みを目指そう!」という想いだ。
※こだまんが下のビデオで本企画の趣旨を説明いたします。
僕は札幌に生まれ、高校までは札幌で育ちました。面白い人間だったとは決して言えなくて、とにかく本を読んでいましたね。1年間に数百冊の本を読むような子供でしたし、話すのも苦手で非常に内向的な少年でした。
ずっと内向的だった自分が変わったのは、高校2年の時にある友人と出会ったころからです。僕の高校は札幌南高校という進学校でした。その友人は東大の医学部にその学校から唯一現役合格したほどできる奴で、彼と出会うことで勉強にも意欲を燃やし、随分と社交的にもなることができました。
これは恥ずかしい話ですが、そのころの僕は東京のことなど全く知らなかったんです。友人が東京に遊びに行って戻ってきた時に、「ビル一棟全部が紀伊国屋だったよ!」「地下でトンネルが交差しているんだ!」と聞かされ、純粋に「すげぇ!」と感動していました(笑)。
一方でその彼とともに遊び、勉強する中で、「世の中にはもっと上がある。より高みを目指そう!」という気持ちが芽生えてきました。「せっかく勉強をするなら一番上に行こう。行けば、その先に道が開けるだろう」という気持ちが強くて、東大を目指すに至ったわけです。
親からは医者になれと言われていましたが、僕は絶対に医者になりたくなかった。他方で、家系の中には物理学をやっていた人もいました。僕自身は昔から天体望遠鏡を覗いていたりと天文学には興味が合ったので、同じ理系でも医学ではなく宇宙物理学を学ぼうと思いました。
とはいえ、せっかく高い志で入ったにも関わらず、ほとんど勉強をしませんでしたが(笑)
浪人時代に駿台の中山寮というところに入ったんです。ここは、全国から400人程度の浪人生が集まるところで、大学に入ってからは、ここで住み込みのアルバイトをしていました。
浪人生は志が高いので、大学で勉強するよりもここでの生活の方が刺激的でしたね。喧嘩の仲裁とか、この寮では毎日大小さまざまな事件が起きるんですよ。
大学院に入ってからは、ちゃんと勉強しました。ただし、宇宙物理学よりも生物学に興味を持ち始めました。
「宇宙」って、手元にないじゃないですか。どんなに研究しても、すべては机上の空論という感じが否めませんでしたね。一方、何千何億という生物も最初は1つの卵から発達していったということの方が不思議でならなかったんです。
細胞は、増殖して爪になったり、目になったりしますよね。すべては遺伝子からの指令でそうなるわけですが、では、「最初に脳になれという指令を出す遺伝子はどれか?」。これが僕の研究でした。
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