10月2日より幕張メッセで開催されているデジタル家電関連の展示会「CEATEC JAPAN 2007」。 NTTドコモのブースでは、携帯電話端末自体の展示が少なかった代わりに、現在研究開発が進んでいる新サービスの参考出展を数多く行っていた。
まずは健康増進のためのウェルネス携帯電話の試作機から。三菱電機製のスライドタイプの携帯電話をベースにしているが、全面がタッチセンサー付きディスプレイで覆われ、全く違ったものとなっている。
この端末には、専用の「ウェルネスiアプリ」と各種センサーが搭載されている。今回の試作機では、歩数計、脈拍計、体脂肪計、ブレス(口臭)測定機を内蔵し、ウェルネスデータが測定可能。体脂肪は閉じた状態で端末の上下を左右の手で持って、腕を伸ばして測定。脈拍は端末上部にある赤外線センサーに指をあてて測定する。口臭は端末下部にあるマイク穴に息を吹き込むと測定できる。
歩数計は単に歩数を測定するだけではなく、歩いているのか走っているのか、階段を昇降しているのか静止しているのかを判断し、その状態に応じてカロリーも計算可能。計測データはマイデータ画面で確認できるほか、待受画面上のウィジェットによりリアルタイムで歩数、カロリー、状態を表示できる。
また、距離や時間、消費カロリーなどの目標を設定して、音楽を聞きながらジョギングやウォーキングができるワークアウトミュージックプレーヤー機能も備えている。
ハードディスクBlu-ray Discレコーダーとサーバ連携用iアプリでウェルネス携帯電話と周辺機器を連携でき、ウェルネスデータや、摂取カロリー、消費カロリーの管理、メンタルヘルスの計測、各種データ共有による家族や友人とのコミュニケーションが可能。ウェルネスデータはグラフ表示でき、目標どおりに運動ができているかが確認可能なほか、家族や友人とも比較できる。
まだ試作段階で製品化の予定はないが、新しい携帯電話の使い方の例を示した。
携帯電話はミュージックプレーヤーになったり、おサイフになったりといったように、生活に密着したものとなっている。その生活サービスをさらに進化させる技術が人体通信。人の体を通信媒体として利用し、微弱な電気信号でデータのやり取りを行う技術のことだ。この人体通信のデモも行われていた。
今回は携帯電話の裏にセンサーをつけているが、その上に電気を通さないフィルムを貼っている。他社の技術は人間がセンサーに直接触れていないと通電しないが、ドコモのシステムでは胸のポケットに入れていても、カバンの中でも、近くに携帯電話があれば使えるサービスになっている。
デモでは携帯電話を持ったままある一定の場所に立つとデータが送られるものと、携帯電話を触っていると音楽が流れてくるというものの2つを展示。携帯電話に触ると音楽が流れてきて、離すと音が止まる。単純だが、まさに人体通信を実感できるようなデモとなっていた。
このようなデモだけだと、実生活でどんな役に立つのかがわかりづらいかもしれない。しかし、この技術を応用すればさまざまな新しいサービスが実現できる。たとえば、現在のモバイルSuicaは携帯電話を改札でタッチしないといけないが、この技術を使うと改札を手でタッチしたり、そのまま通り抜けたりするだけで決済ができるようになる。また、この人体通信に対応した携帯電話をカギとして使うことで、本人が近くにいるときだけパソコンが操作でき、離席するとロックがかかるようなことも実現できるのだ。
10月1日から始まった一般向け緊急地震速報には、ドコモでも対応を進めている。地震を感知すると気象庁が緊急地震速報を配信。ドコモはその速報を携帯電話に伝えるのだ。現在販売されている携帯電話は非対応だが、今後登場する新端末には、緊急地震速報のサービスを搭載していきたいとのことだ。
この技術はプッシュメールを応用したものではない。ドコモの通信網を改良して、基地局と端末の通信を確立するための電波に、緊急地震速報のデータを乗せているのだ。そのため、メールなどのようにタイムラグがなく、電波が届いてさえいれば即座に受信して画面上に表示したり、専用ブザーで知らせたりすることができる。本当にリアルタイム性が必要な情報のためなのだ。しかも、携帯電話の特性を活かし、影響がある地域の端末にしか配信しないようにできる。つまり、即座に地震への対応をしないといけない地域にいる人にいち早く一斉同報ができるのが、ドコモの緊急地震速報の特徴となっている。
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