ブログを利用したPRや口コミマーケティングが声高に叫ばれている。しかし、ブロガー向けに対価を支払って宣伝したい製品やサービスの記事を書いてもらうことやブロガー向けのイベントを開催してどれほどの成果があるかというと、それをはかる指標は「何名のブロガーが記事を書いた」といったエントリー数くらいしかないのではないだろうか。
国内最大規模のブログサービスを運営するライブドアは、NTTデータの日本語意味理解エンジン「なずき」による指標を持ち込み、成果の見えるかたちでのブログPRを提案していく。
ライブドアは10月5日、ブログを活用したPR・キャンペーンのパッケージプラン「livedoor Blog Watch」を発表した。
このサービスでは、ライブドアが約220万ユーザーを誇るlivedoor Blogのユーザーからクライアント企業のキャンペーンに最適なブロガーをピックアップし、試供品の提供やブロガー限定の発表会といったイベントを開催することで、ブロガーに向けたプロモーションを展開する。
プロモーションの実施後は、なずきの「エモーションアナライザ」機能を使い、イベントに参加したブロガーの書き込みについて詳細な分析を行う。
エモーションアナライザーでは、単語や係り受けの出現頻度や語感などから、ブロガーが製品やサービスに対して好意的か、それとも否定的なのかをはじめ、「好評」「不満」「要望」など最大81種類までの感情に区分できる。ライブドアではその分析結果と、ブログ記事のページビューやブロガーのプロフィール情報などを組み合わせたレポートをクライアント企業に提供する。
パッケージ価格はブロガー数十人を対象とした場合で400万円からとなる。すでに大手外資系化粧品会社のブログPRにおいてプロトタイプという形でサービスの提供を予定しており、11月から本格運用を開始する。すでに数社からの引き合いがあるという。同社では今年度中に30件程度の契約を目指す。
「今までのブログPRは『炎上しなければ成功』というようなケースが多かった」――ライブドア メディア事業部インフォメーションメディア部執行役員の田端信太郎氏はこう語る。
ブログでのPRにより、SEMや口コミマーケティングの可能性が広がってきた。そのため、クライアント企業についてポジティブな内容を書けばブロガーに報酬が支払われるブログネットワークが次々と立ち上がる一方、ブログの書き込みに対価が支払われていることを「やらせ」と見なし、違和感を思えるインターネットユーザーも増えてきた。
そのため、ライブドアでは「ブロガーへ金銭は受け渡さない」「ブログ記事内容の検閲や規制をしない」「ブロガーを厳選する」という3台鉄則を打ち立て、数カ月前からブログを活用したPRを実施してきた。
元代表取締役社長兼CEOの堀江貴文氏の逮捕以降、広告出稿が止まってしまった同社だが、現在ではナショナルクライアントを除きピークの時期同様の出稿量があるという。ナショナルクライアントを取り戻すために、なずきでの解析結果という、成果の見えるレポートを提供することで他社が提供するブログPRとは差をつけたい考え。
田端氏は、ブログPRではまだ効果測定できる指標がページビューや記事本数といった程度でしかないことを指摘し、「なずきがその指標になってくれれば、ブログを使ったPRはさらに価値のあるものになる」と語る。今後ライブドアではNTTデータと協力し、ブログPRの効果測定としてなずきを利用する以外にも、ブロガーの属性把握のための利用などで協力を進める予定だ。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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