家電量販店大手のビックカメラとベスト電器は20日、資本・業務の両面で提携したと発表した。ビックカメラがベスト電器が実施する第三者割当増資を引き受け筆頭株主となるほか、修理センターや物流網を相互に利用する。家電量販店の競争が激化するなか、業界再編が一段と進む可能性が出てきた。
ベスト電器は10月5日付で56億円の第三者割当増資を実施し、ビックカメラが全額を引き受ける。この結果、ビックカメラはベスト電器株の9・9%の株式を取得し、筆頭株主になる。ベスト電器は資本提携によって得た資金を、40%を出資し113億円の有利子負債を抱える子会社「さくらや」の借入金の返済に充当する。
一方、両社は業務提携推進委員会(仮称)を立ち上げ、(1)修理センター・機能の相互活用(2)物流網、サービスの相互利用(3)店長クラスの人材交流(4)オリジナル商品の共同開発−などの業務提携について検討し、業務の共同化を進めることで提携の相乗効果を発揮したい考えだ。
現在、ヤマダ電機がベスト電器の5%超の株を保有しており、今回の提携は買収防衛策の一環と見る向きもあったが、同日、記者会見したビックカメラの宮嶋宏幸社長、ベスト電器の深沢政和専務ともこれを否定した。また、提携交渉は5月から始め、「さくらや」の再建のため資金調達を迫られていたベスト電器が、ビックカメラに対して積極的に提携を働きかけたという。
国内の家電製品の市場規模は約7兆円。今後、人口が減少するなか、市場は頭打ち状態にあり、店舗数も過剰気味。メーカーとの交渉力を強化するためには大量購入によって仕入れ単価を引き下げ、好立地への出店が生き残りの鍵を握る。
ビックカメラの宮嶋社長は「企業価値の向上が図れるのならば、今後も提携を積極的に行っていきたい」としたうえで、3%の株式を持ち合っているエディオンとの関係についても「商品の共同開発など関係を深めていきたい」と述べた。
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