Linden Labは8月29日、同社が運営する3D仮想世界「Second Life」に個人認証システムを導入した。この認証は米国Aristotleが提供するもので、すでにSecond Life内でベータ版が利用できるようになっている。
ID認証のシステムには、ユーザーを特定する情報、例えば運転免許証やパスポート、国民IDカードの番号、あるいは社会保障番号の下4桁などを入力する必要がある。さらに、個人情報に関連する項目を照合するため、既存の公的データベースとの間で二重チェックが行われるという。
このID認証はユーザーに強制されるものではなく、あくまで任意だ。ただ、Second Life内で「制限あり(Restricted)」とされている地域にアクセスする際には、すべての住人に認証が要求されることになる。
Second Life内には、アクセスが18歳以上のユーザーに限られているコンテンツがあるが、今回のID認証の導入は、未成年者が制限コンテンツへアクセスできないようにすることが目的だ。ID認証を行わないユーザーは、制限のある地域へのアクセスは禁止されるが、Second Lifeのサービスは利用し続けることができる。
ユーザーの個人情報がLinden Labに保存されることはなく、年齢とその他のID要素を確認するためにのみ使用されるという。
とはいえ、具体的な運用方法は固まっていない状態だ。例えば日本人ユーザーがこの認証システムを利用する際に、日本で発行された運転免許証を使えるのか、Linden Labとの間でデータ照合を行う公的機関とはどこを指すのか、重要な部分はほとんど決まっていないという。正式版の開始スケジュールも未定だ。
Linden Labのマーケティングおよびコミュニティ開発担当副社長 Robin Harper氏は「これはSecond Lifeの発展のために重要かつ、必要なステップだ。匿名性は長い間、オンラインコミュニティのメリットであり、同時に課題でもあった。メリットは理想とする自分を演出する機会が得られることであり、一方、課題は他者との信頼関係を確立することが困難であったことだ。Second Lifeの住人は、年齢や名前のような現実社会の個人情報を認証するシステムが提供されたことにより、安全で、信頼できる仮想世界と仮想コミュニティを創り出すことができるようになる」と話している。
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