Googleは2006年10月に16億5000万ドルでYouTubeを買収した。そのGoogleにとって、この広告フォーマットはYouTubeへの投資を利益につなげるための秘策といえるだろう。また、このGoogleの実験が成功すれば、YouTube以外の動画サイトも数十億ドルの広告収入を得る可能性がある。
これまでインターネットの視聴者らは、わずか30秒間のビデオクリップを見るために15秒間のCMを最後まで見せられることに難色を示してきた。そこで、ユーザーが投稿したビデオを扱う動画共有サイトは、そのような視聴者にいかにして広告を見せるかという問題に長年取り組んできた。
YouTubeは1年以上前から、間もなくある広告フォーマットを発表すると言い続け、マーケッターたちをじらしてきた。批評家らは、インターネット視聴者らはこれまで甘やかされており、YouTubeファンたちは広告のないビデオを見ることに慣れ、決して広告を許容しないと予測した。
しかし、YouTubeのグループプロダクトマネジャーのShashi Seth氏によると、同社は視聴者が広告にいら立ちを覚えないようにするため、苦労を重ねたという。広告は映像が流れ始めてから15秒後に表示されるが、10秒後に消える。
ビデオを2回目に視聴する際には、広告は再表示されない。Shashi氏によると、YouTubeはすでに同フォーマットのテストをしており、(各ビデオに短時間、控えめな形で盛り込まれている)フラッシュアニメ広告によって計画が台無しになることはないと確信しているという。
Googleは1月に、YouTubeの広告問題を解決するため、Seth氏をYouTubeに派遣した。そのSeth氏によると、これまで実施したテストの結果、この新型広告のクリックスルーレート(広告の表示回数とクリックされた回数の割合)は、従来のディスプレー広告に比べ5〜10倍高いことが判明したという。
Seth氏によると、オーバーレイ広告をクリックしたユーザーの75%は戻ってきてビデオを見続けたという。
Googleによると、これらの広告は、著作権侵害の有無や不適切なコンテンツか否かの審査を通過したビデオクリップにのみ挿入されるという。
マーケティングアナリストのGreg Sterling氏は、マーケッターらがこのYouTubeの新しい広告フォーマットを十分に活用するには、面白くて人々の興味をそそる新しいコンテンツを考案する必要があると指摘する。
Sterling氏は、「(マーケッターたちは)視聴者が思わず広告をクリックしてしまうような、創造的で、魅力的で、感動的なコンテンツを考案しなければならない」とし、さらに「それが第一のステップだ。しかし、視聴者がクリックしたら、今度は双方向コンテンツで彼らの関心を引く必要がある」と付け加えた。
GoogleのSeth氏は、広告主らがFlashコンテンツの製作に向け準備万端であることに驚いたという。テスト期間中に協力を得たおよそ20社の企業の大半は、すでにFlash開発の経験のあるスタッフを揃えていた。
「まだモデルが確立していないにも関わらず、広告主らはこの広告フォーマットにうまくなじんでいた」(Seth氏)
しかし、Laszlo氏は、YouTubeの視聴者が広告を気に入る保証はないと警告する。問題点は2つある。第一に、オーバーレイにより映像の一部がぼやける。また、広告主らに彼らのブランドが著作権を侵害しているコンテンツや、暴力や性行為などを扱った危険なコンテンツとともに表示されないことを保証しなければならないという問題もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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