成長著しいニュース集約サイトとその問題点 - (page 2)

文:Caroline McCarthy(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一2007年08月21日 17時57分

 一方、NowPublicのようなサイトは、リンクだけでなく、協力者としての群集を情報源とする。NowPublicの共同創設者であるLen Brody氏は、一般市民の目と耳による協力を求めることにより、大手報道機関には不可能な水準で、写真、動画、解説を提供してもらい、それを集約するという手法だと説明する。

 Brody氏は次のように述べている。「道端にいる人たちの誰もができることとは、目撃者になることだ。われわれがやっているのは、そのすべての情報を統合し、ジャーナリストや読者が最新情報を獲得するための、こういった早期警報ネットワークとして機能することだ」

 確かにこれは、効率性を目指して踏み出した一歩だ。しかしその反面、情報集約サイト--特にユーザーコミュニティーに依存したもの--は、信頼性という点で厄介な問題を引き起こす可能性がある。diggでは、ユーザーによる投票で人気を集めてトップページに掲載された記事が、不正確な内容を含むものだったり、そもそも最初から悪ふざけを狙ったものだったりしたことが、後になって判明するケースもときどきある。

 そして、著作権の問題もある。2007年5月にHD DVD暗号鍵を含むdiggの記事が削除されたことに対し、ユーザーたちが猛然と抗議した事例のように、ほぼ間違いなく(あるいは実際に)違法な内容にリンクを張ることで、リンクを掲載したサイトが混乱に陥ることもある。その上、ニュース集約サービスは、単なるリンク以外に情報源から何らかのコンテンツを借用したり、2、3段落をそのまま転載したりする可能性があり、違法すれすれという面がある。このため、コンテンツをよそから無断でかき集めてくる「スクレーパーサイト」と見られてしまうかもしれない。

 外部情報へのリンク、写真、動画を投稿するだけでなく、ユーザーが独自のニュースを作成し、投稿できるNowPublicにとっては、この点が特に重大なポイントだ。しかし、Brody氏によると、NowPublicでは「Wikipedia」的な手法で、コンテンツの盗用をチェックしているという。「実に素早く、あらゆる問題を察知できる。もし違法なコンテンツなら、削除される。著作権を侵害していたり中傷的な内容だったりすれば、NowPublicのコミュニティーが本当にうまく機能して、われわれの注意を喚起してくれる」

 しかし、ニュース集約モデルの成長という現象に関わる最大の問題はたぶん、技術が進歩してますます容易にパーソナライズできるようになるにつれ、こうした情報集約手法が時代遅れになる可能性があることだろう。たとえば、開設されたばかりのNewserでは、編集者による選択とアルゴリズムエンジンの組み合わせにより、トップページに掲載するリンクを集約している。Daylifeと同じように、なかなかよくまとまっている。しかし、すでに、ウィジェットを利用しやすい「パーソナライズドホームページ」を採用する企業がますます増えてきていることからもわかるように、いまはシンプルなフォーマットの個人向けRSSフィードリーダーが見た目の良さを追求し始めることも十分考えられる。十分に「カスタマイズ可能」でないニュース集約サイトは、時代遅れになってしまうかもしれない。

 ついこのあいだまで、オンラインのニュースをカスタマイズする方法は、地域のニュースや天気情報を得るために居住地の郵便番号を入力する程度に限られていた。状況はすでに大きく変わり、今もなお進化している。ニュース集約サイトの開発者たちは、カスタマイズ化への流れは強まっていくばかりだということを理解しており、それに向けて準備するつもりだと主張している。

 「実際のところ、35歳以下の膨大な数の人たちにとって、自分の物理的な存在というのは生活の中でどんどん小さな部分となっている」と、Brody氏は言う。「われわれが向かっているのは、『ハイパーパーソナル』がいっそう重要な意味を持つニュースの時代だ。なぜなら、『ハイパーパーソナル』は『ローカル』を包含するが、それよりずっと多くのものを含んでいるからだ。それは、自分自身を中心とした太陽系のようなものだ」

 当然のことながら、作業はまだ進行中だ。

 「(われわれは)ニュースを、自分だけのバンパーステッカーや、高校生がよく着ているロックバンドのツアー用Tシャツのようなものに変える方法を見つけたいと思っている。あなたがMetallica(メタリカ)のTシャツを着ていたときは、それがあなたについてのメッセージとして機能していたのだ」とBrody氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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