ここでは、新しいニュースアグリゲーションサイト「Newser」について見ていく。書かなければならないことが、何ともたくさんある。
初めてサイトにアクセスしたとき、画面の表示がたいへん気に入った。非常に巧妙なデザインで、ニュースの見せ方が実に適切だった。コンテンツ選びのコンセプトもすばらしい。
Newserの編集者は時事ニュースをピックアップして要約し、記事に関連する画像の添付なども行う。このニュース掲載スタイルはSlashdot方式に立ち返ったようなところがあり、diggやTechmemeなどの自動化が進んだアプローチからは距離を置いている。しかしNewserには、どうにも我慢できない根本的な問題があるように思える。
Newserが抱える第1の、そしてもっとも深刻な問題は、ブログ発の記事がどこにも見当たらないことである。Newserの情報源ランキングトップ100を掲載したページに、編集者がもっともよく言及する100のサイトが紹介されている。第1位(執筆時点)はAssociated Press(AP通信)で、2007年3月から340の記事で言及されている。一方、EngadgetやTechCrunchなども含め、トップブログからの記事は1件もない。
誤解しないで欲しい。NewserにAP通信発のコンテンツが掲載されることに何ら問題はないと思う。AP通信は非常に有力で影響力の大きい報道機関であり、コンテンツの一部を担ってしかるべきなのは間違いないが、インターネットニュースサイトを作るなら、新しいメディアの利点をある程度は取り入れる必要がある。AP通信からの記事が340件でEngadgetからは0件というのは、まったくばかげた話である。
サイトのコンセプトで奇妙に思える個所がもう1点、それは「Newserは偏りのない情報提供を目指す」という「About」ページの記述である。Josh Catone氏はRead/Write Webで「人が介する要素があれば、偏りが加わることもまた避けられない」と書いている。まったく同意見である。記事の選定プロセスには人が介する要素が大きいのだから、偏りなくなどというのは不可能である。
Newserの狙いは悪くない。記事を自動生成するサイトに対し、人がコンテンツをピックアップするサイトでバランスを取るという考えは好ましいと思う。ただ、Newserの編集者には、ピックアップするコンテンツの幅を広げ、あるいはコメントなど社会的な要素を記事に付加して適切な目安を設けることが、どうしても必要である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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