iPod(特に一段と薄くなった新型)は男物のシャツなら胸ポケットにすっぽりと収まる。動画に対応したことも含めて考えると、実はこの当たり前の事実が一番大事な点ではないかと思う。つまり、ソニーのPSPをはじめとして、すでに出回っている携帯ビデオ機能付き端末は、どれも片手には収まりにくい。一方、iPodのフォームファクターは純粋な音楽プレイヤーであったときから変わっていない。両者のこの違いがどこにでるかというと、当然ながら、携帯時のハンドリングの容易さにである(比較的混雑した通勤電車のなかを想像してみればいい)。
AVパソコンやHDDレコーダーの普及で、テレビの「タイムシフト視聴」が当たり前になった。EPG(電子番組表)と大容量HDDによる「時間差攻撃」はかなり大きな恩恵をもたらした。それによって、ユーザーは時間的な自由を手に入れたといえるが、実は同時に新しいジレンマを抱えることにもなった。そのジレンマとは、どんどん溜まっていく録画番組を観る時間がない、というものだ。そして、新しいiPodはこのジレンマの解決――少なくとも緩和に役立つ有力な候補だと思える。
移動中や出先で動画が容易に観られることを前提にすれば、すぐにでも利用したくなるコンテンツのアイデアはいろいろと浮かんでくる。実際に、iTMSで売られているミュージックビデオのほかにも、たとえばNHK教育チャネルの語学番組や、テレビ東京系のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」などは、ポッドキャストでの配信を始めたらいいと思えるコンテンツの筆頭かも知れない(もちろん、自分で撮った家族旅行のビデオも忘れてはいけない)。
ところで、「そこまでして動画が観たいか」という疑問が湧くかも知れないが、これについてはひとつの解答例がある。スタンフォード大学のウェブサイトでは、冒頭で引用したジョブズのスピーチの様子を撮したビデオも公開されている。このなかのジョブズには、製品発表のステージで見せるあの余裕たっぷりの立ち居振る舞いなどかけらも見えず、ただ緊張気味に原稿を読み上げているだけのように見える(単に時間が足りなかったのかもしれないが)。耳で聞いただけでは「どことなく早口だな」程度にしか感じられなかった何かが、視覚的に補われることで、非常にはっきりと看て取れる。それだけの情報量の違いがあることに、あらためて動画の威力と魅力を感じた次第である。
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