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『タイムマシンを胸ポケットに』 アップル iPod(Video) - (page 2)

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Apple
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内容:2001年に登場したiPodが、5世代めにして、ついにビデオ再生機能まで手に入れた。携帯音楽プレイヤーの枠を超えた話題の新モデルに触れてみた印象をさっそく記してみたい。

ビデオの印象は

 よく「蔵書は人の頭のなかを映し出す鏡」というような言い方をする。音楽にもそれと同じことが言えると私は思う(だから、社内LANにつながった他のマシンから見える、iTunesの曲目リストはとても興味深い)。ただし、書籍の場合はどちらかというと内容自体(のかすかな断片)が記憶に残る場合が多いが、音楽のほうはそれを耳にしていた時の状況が想起されることのほうが多いようだ。そうだとすると、HDDの容量が数十GBにも及ぶiPodなら、これまで聴いてきた大半の曲や、それによって想起される思い出をどこにでも持って行けるということになる。今回のレビューでは、これがいかにすごいことかを改めて感じさせられた次第だが、そのことは後回しにして、まずは新iPodの最大の目玉であるビデオについて記す。

 購入を検討されているみなさんに、先に警告をひとつ。

 このレビューのために、地下鉄に乗りながらポッドキャストのビデオを観ていたのだが、危うく目的の駅で降り損ねそうになった。聴覚に加えて、視覚まで占有されたことで、手がかりとなる情報がとても限られてしまったからだった(窓外の風景の切り替わる地上なら、だいぶ事情が異なるかもしれないが)。別の捉え方をすると、それだけこの小さなビデオプレイヤーが観る者を没頭させずにおかない――つまり、画面のサイズなど、すぐに慣れて気にならなくなってしまう、ということだろう(「近頃主流になってきている薄型大画面テレビに買い換えても、あっという間にそれが『普通の大きさ』に思えてきて、しばらくするともう物足りなくなってしまう」といった話をよく耳にする。また自分にもそういった経験がある。しかし、そういう『アップスケール』の慣れと反対に、小さい画面にもすぐに慣れる、という発見はちょっと新鮮だった)。

 新しいiPodについては、「ついに動画も再生できるようになった」点を高く評価する声が聞かれる一方で、2.5インチという液晶画面のサイズや、対応するビデオの解像度(320x240ピクセル)、さらにはiTunes経由で入手できるコンテンツの少なさにもの足りなさを指摘する声もある。ウォールストリートジャーナルの看板コラムニスト、ウォルト・モスバーグなどは、「手に持ったまま何十分も画面を観ていると疲れてしかたがない。アップルには是非ともスタンドを同梱してほしい」といった要望まで出していた(いやはや、まったく「ところ変われば……」である。乗り合わせた客の大半が、まるで平安時代のお公家さんのような姿勢でケータイを眺め、使い続けている東京の電車の後継を目にしたら、いったいどう感じるのだろうか、と興味を覚えずにはいられない。

 こうした「業界筋」の喧しい論評とは別に、一般ユーザーは早くも肯定的な評決を下しているようで、11月1日にBusinessWeekサイトに掲載されたニュース解説「I Want My Video iPod」には、一部のパーツの供給が追いつかず新iPodの需給が非常にタイトになっているとの情報も掲載されていた。この記事には、調査会社iSuppliのコメントとして、液晶画面の不足を解消するために、Appledが現在取引のある東芝松下ディスプレイのほかに、第2の液晶パネルメーカーを探しているとも書かれていた。

 このビデオの画質だが、ハードウェア的にはかなりのものだと思う。最近のデジタルカメラには、ちょうど同じくらいのサイズの液晶画面が搭載されているが、あれのなかで絵が動いていると思えばよい。そうなると、要はデータソースの具合によってかなり画質が変わるということになるのだろう。自腹でブラックバージョンを手に入れた当編集部の人間からは、「MPEG-4だとわりとキビしい」という報告も聞いている。実際に自分でもいくつか試してみたが、たとえば「NerdTV」のインタビュー(同名のウェブサイトからダウンロード可能)はおしなべて粗い感じがしたのに対し、同じMPEG−4でも、ポッドキャストで配信されている「Rocketboom」の番組などは、かなりきれいに表示された。実際にこの番組は、iMac G5に初めて搭載された「FrontRow」からフルスクリーン(17インチ:1440x900ピクセル)にして観ても、標準のテレビ放送と遜色ないレベルで表示される。ただし、オプションの赤外線リモコン対応ドックコネクタ(のS端子)で、若干解像度が下回るはずのソニー製28インチ液晶テレビにつないでみたところ、これはほとんど考慮に値しない程度の画質でしか表示されなかった(2.5インチの液晶画面を想定したiPod内蔵のデコーダには自ずと限界があるということでしかない)。

 また、スティーブ・ジョブズは発表の場で、動画を手に入れ(iTunes)、リビングルームで楽しみ(FrontRow搭載のiMac G5)、そして外に持って出られる(iPod)一連のインフラができたと強調していたが、だからといって、そこから一気に動画(特に映画など)の配信について云々するのは、やはりお門違いというか乱暴な話だと思う。また、この程度の大きさの画面でも十分に用が足りる動画リソースが現にたくさん存在していることにも、今回改めて気付かされた。

 いずれにせよ、現時点でいえるのは、320x240ピクセルという解像度の動画もあながち捨てたものではない、ということだ。そして、この先どのような高機能化があるかは断定できないが、手のひら(あるいはシャツのポケット)に収まるサイズという制約を考えれば、これ以上の大きな画像サイズは望まなくていいのかもしれない。それよりも、トレードオフとして優先させたいのは、本体の薄さと小ささなのである。

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