ワシントン発--民主党上院議員は、米国時間7月25日に、紙の投票記録を保存できない電子投票システムの使用禁止を求める新たな局面に入ったものの、2008年の大統領選挙での適用は見送ることとなった。
Dianne Feinstein上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が中心となり、電子投票システムに紙の投票記録を義務付ける「Ballot Integrity Act」法案が提唱され、物議を醸してきたものの、Feinstein氏は、予備選挙まで半年ほどの期間しかない現在、有権者が確認可能な紙の投票記録を発行できる電子投票システムの導入を全州に求めるならば「大混乱を招きかねない」と述べた。Feinstein氏は2007年初めの段階では、2008年までに同システムの全面導入を求める法案施行を目指していた。
Feinstein氏の主導でワシントンにて開催された上院議事規則議院運営委員会(Senate Committee on Rules and Administration)の公聴会の冒頭では「2010年選挙まで導入を先送りすることで、選挙改革擁護団体や地方および州当局を含む超党派の合意に達するための時間が与えられ、大きな間違いが生じることへの懸念を払拭して、正確かつ信頼性の高い選挙制度を整える上での新法施行も可能になる」と、Feinstein氏は説明した。
25日の公聴会で、同法案への数々の懸念が表明されたのを受けて、Feinstein氏は、紙の投票記録を義務付ける、いかなる提案されている期限も「もう少し先に」延ばすことが必要かもしれないと認めた。
メモリアルデーによる休会直前にFeinstein氏が提出した同法案は、次期大統領候補のHillary Clinton氏、Barack Obama氏、Christopher Dodd氏などを含む民主党議員10名と、バーモント州無所属議員のBernie Sanders氏によって、共同で提案されている。25日の公聴会には、Clinton氏も短時間ながら登場し、米国投票制度の「21世紀改革」の宣伝を行った。その改革運動において、正式な投票記録用紙とみなされる、有権者が確認可能な紙の投票記録の使用を電子投票システムに義務付けること、非公開の電子投票ソフトウェアソースコードの利用を禁止すること、投票システムに無線通信装置の搭載を禁じることなどを、Clinton氏は提唱している(2007年初めにClinton氏は、別に「Count Every Vote Act」と呼ばれる法案も提出しており、同種の提案が盛り込まれている)。
選挙監視団体や著名なコンピュータ研究者たちは、特にタッチスクリーン装置はセキュリティ上の脆弱性や欠陥にさらされやすいことが明らかになっており、有権者が自分の投票記録をチェックするに当たっては、紙の投票用紙こそが最も確実な方法となり得るとの議論を、長きに渡って展開し続けている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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