米大統領選を36日後に控えた27日(米国時間)、米連邦控訴裁判所は、フロリダ州による投票記録の残らない電子投票システムの採用の是非を問う訴訟を復活させた。
この日、第11巡回控訴裁判所が復活させたのは、Robert Wexler民主党下院議員をはじめとするフロリダ州選出の議員が3月に提起した訴訟だ。Wexlerらは、投票記録の残らないタッチスクリーン式投票システムでは手作業による再集計が不可能なため、フロリダ州の15郡がそのような投票システムを導入するのは違憲だ、と主張している。
フロリダ州フォートローダーデール地裁は、州の主権に対する連邦政府の過度な干渉につながりかねないとし、手続き上の理由でWexlerらが起こした訴訟を棄却した。控訴裁が今週、同訴訟の復活を認める判断を下したことにより、今後フォートローダーデール地裁で審理が進められることになるが、この裁判が11月2日の大統領選の手続きにどのような影響を与えるかは不透明だ。
Wexlerらは訴状の中で、フロリダ州に選挙に関する2つの基準が存在するのは違憲と主張。その2つの基準とは、52の郡には必要に応じて手作業で再集計を行なう手段があるのに対し、タッチスクリーン式投票システムを導入している15郡にはそのような手段がないことを指している。同訴訟は、パームビーチやインディアンリバーなどの郡の選挙管理委員会に対するものだ。
Jimmy Carter元大統領は27日付のWashington Postの記事の中で、フロリダ州の選挙システムには多くの共和党職員が関与しており、物議をかもした2000年の大統領選が、彼らの手によって再現される可能性があると警告している。
Carterは記事の中で次のように書いている。「現代技術の使用により、正確かつ迅速な集計が可能で、さらに開票作業が正しく行なわれていると全ての投票者が信頼できるよう紙製の投票記録が印刷される電子投票システムの開発が可能だ。諸外国や米国の一部の州で既に使用され、実績を残しているこの投票システムをフロリダ州で使用できない理由はない」
さらに今週、世界で最も長い歴史を持つコンピュータ技術者団体が電子投票システムの危険性を警告し、投票記録の残らないシステムを選挙で使用しないよう警告した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス