Business Software Alliance(BSA)のプレジデントを務めるRobert Holleyman氏は20日に声明を発表し、法改正は「米国の将来の革新と繁栄にとって必要不可欠だ」と述べた。BSAには、Adobe Systems、Apple、Dell、Intel、Microsoft、IBMなどが加盟している。
7月第3週にそれぞれの委員会で承認された両法案は、その中核を占める部分でよく似通っている。そして、その中には、業界によって大きく意見が分かれ、激しい論争を巻き起こしてきた項目もいくつかある。
両法案はともに「先願主義」の特許方式を謳っている。先願主義は現在、米国以外のすべての国が採用している制度だ。現行の「先発明主義」では、最初の発明者を特定するのが困難なことから数々の問題が生じてきた、という批判がある。改正法案には、特許出願者に新しい制度の下で保護を受ける資格があるかどうかを争うための手続きも盛り込まれている。
新法案ではまた、米特許商標庁内に「特許承認後の異議」について検討する委員会を設置して、時間と費用のかかる特許訴訟の代わりに利用できるようにすることも求めている。しかし、これについては意見の対立もある。それは、第三者がこの制度を利用できる期間をどれくらいに設定するか、という問題だ。ハイテク企業はほとんど制限をかけないことを要求しているが、一方で、異議申し立て期間の制限をはずしたら、特許の価値を危険にさらす可能性があるとする反対意見もある。
両法案とも、特許訴訟の現状を考慮して、ハイテク業界から再び不満の声が起こらないよう、かなりの注意を払っている。たとえば、企業が自らにとって最も有利な裁判所ばかり選んで提訴しようとするのを防ぐため、提訴可能な裁判地を制限する、といった措置を講じている。
両法案について最も厳しく意見が対立している事柄の中に、特許侵害を犯した場合、特許保有者にどれだけの賠償金を支払わなければならないかという問題がある。ハイテク業界は、製品の主要コンポーネントは何千もあるため、そのうちのたった1つで特許侵害を犯したといって、製品全体の価値に基づいて損害賠償を請求されるのは不適切な場合が多い、と主張する。しかし他の業界では、ハイテク業界に比べて少ない数の特許に頼っていることが多く、意見は異なる。ハイテク業界が主張するようなやり方では、自分たちの発明の価値が減じられ、自分たちが当然受け取るべき賠償金が得られなくなる可能性がある、というのだ。
この問題で両法案は、その製品市場の需要を喚起するのに当該特許が「必要不可欠」である理由を特許保有者が示せないかぎり、その製品に対する当該特許の「貢献度」に基づいて裁判所が賠償金の額を決定することを認めている。両法案はまた、問題の特許侵害が「故意」か否かの追及も制限しようとしている。故意だった場合の損害賠償額は3倍になるが、両法案では、特許侵害だと相手が知っていた証拠を示す新たな義務を、特許所有者に課している。
たとえ2007年中に議会でこれ以上の進展がなかったとしても、ハイテク業界の懸念していた問題の一部は、この2年の間に米連邦最高裁判所の示した判断の中にすでに取り上げられている。最近の例で言うと最高裁は、特許の内容があまりにも「自明」で、保護を保証されるものではない、という判定を下すための基準の緩和を意図した裁定を下している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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