正当なコンテンツ市場と、単に販売促進目的でコンテンツを生成する、いわゆる「AdSense向けに作られた」企業との違いは、企業の目的と記事のクオリティにあると、検索マーケティング企業SEOmozの共同創立者で最高経営責任者(CEO)、Rand Fishkin氏は指摘する。
この指摘は、議論の核心に迫るものだ。Associated Contentに問題を感じない人と、感じる人とを分ける境界線は、結局のところ、ウェブサイトにおいて最も定義が難しい要素の1つ、「クオリティ」に帰着するようだ。そして多くの人が知っているように、クオリティの定義は非常に難しい。20世紀には、米最高裁判所のPotter Stewart裁判官が「見れば分かる」と言って、ポルノグラフィーをより踏み込んで定義することを拒否するという出来事があったが、クオリティについても同様の状況がある。
この記事で触れているようなブログ報酬サイトを出所とするコンテンツについては、質が悪いものが多いという不満が出ている。こうしたコンテンツは、読み手に対し情報を提供したり、啓蒙するためではなく、検索エンジンでより高いランキングを得るために作られているからだ。Associated Contentも、ニュースサイト「Clickz」に掲載された「Googleジュースをコップの底まで吸い尽くす」というタイトルの記事で、その点を批判されている。
Search Engine LandのSullivan氏も、自身のブログでこの点をさらに追及している。ブログの中で同氏は、Associated Contentが検索結果の「汚染」に一役買っており、記事にある同一のキーワードからサイト内の他のページに繰り返しハイパーリンクを使用するなどの方法で、「Googleのランキングを操作」していると示唆している。
Sullivan氏は最近の取材に答えて「一部の人々は、AdSenseから単に金を稼ぐだけが目的となっており、とにかくコンテンツを必要としているので、自由寄稿方式で作者からコンテンツを集め始める。このやり方は、グレーゾーンに入るものだ」と述べている。さらに同氏は「Associated Contentの唯一の問題点は、同社がGoogleの幹部を取締役会に迎えていることだ。Associated Contentの事業は今述べたグレーゾーンに入っているので、Googleにとって問題となるだろう。Associated Contentのやっていることは不正ではないが、議論は免れない」と指摘した。
インターネットマーケティングのコンサルタント会社で同名のブログも運営するMarketing Pilgrimの創立者、Andy Beal氏も、次のように述べている。「一方でGoogleに売り上げをもたらす事業に直接関わりながら、他方でGoogleから報酬を得る手段を巧みに利用する企業にも関わっている人物がいることが問題だ。これは利益背反にあたるはずだ」
GoogleのArmstrong氏は取材に応じなかったが、同社の法務顧問でグローバル企業倫理最高責任者を務めるAndy Hinton氏から、以下のような声明が出された。「Tim Armstrong氏がAssociated Contentの取締役を務めていることは、同氏によりGoogleの経営陣に対して適切に開示され、経営陣も精査を済ませている。この件に関して、Googleに対するArmstrong氏の責務との間で発生しうる利害の対立についても、対策が取られている」
一方、SoftBank CapitalのHippeau氏は、Associated Contentのコンテンツ、ビジネスモデル、取締役会の構成を問題視する人が出てきたこと自体に驚いているという。
「人々が求めている、斬新で、オリジナルで、最新の話題を取り上げたコンテンツだ。われわれは(寄稿者による)コンテンツを発表し、それを人々に届ける最善の方法を見つけ出したのだ(中略)。それが問題になるとは、われわれにとって思いもよらなかった」と、Hippeau氏は語った。
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