ネットサービスを提供する際、PCと携帯電話ではユーザーの動き方が違うといわれている。深田氏は、PCのユーザーとの違いを各パネラーがどう感じているのかを聞いた。
エフルートの佐藤氏は、PCと携帯電話のユーザーの違いについて、携帯電話から商品を買う時にユーザーは検索エンジンで検索しないという話を例にして、方向性、動き方が違うのを感じると答えた。しかし、世の中でいわれているほど分断されているのかという疑問を持っているという。
「いろいろなことが同時進行で多面的に動いているのではないでしょうか。モバイル検索エンジンやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の機能強化が進み、PCと携帯電話の両方を使おうとする20代のユーザーのトラフィックが増えている一方、10代のユーザーを見ると、画像共有サービスや掲示板などの無料サービスの利用が爆発的に増えています。また、キャリアの検索エンジン導入後は30代のユーザーが増えてきています」(佐藤氏)
jig.jpの福野氏は、携帯電話ユーザーの方が一般的で、PCユーザーこそがニッチとの持論を明かした。
「電車の中でPCを開く人をほとんど見かけない。しかし、携帯電話は1億人が加入しており、ほとんどの人が普通に持っている。PCに比べて携帯電話の方が一般的だとみると、考えるべきことはいろいろあって当然という気がしています」(福野氏)
PCユーザーこそニッチというのは新しい捉え方で、今後のユーザー層の変遷と考えたときにありうる話だと深田氏も同意した。今の10代の学生は、初めて触ったネット端末がPCでも、家族共有のPCで友達にメールは送らないだろう。文字入力のスキルについても、携帯電話の方が低いハードルになっている感覚はある。深田氏は、モバイルがコミュニケーションの中心になっていくことは十分可能で、ゆめみが狙うサービスを考える上でも大きなヒントになると述べた。
また、ロケーションバリューの砂川氏は、最近、ユーザー層に対する考えが変わったことを実感していると語り、その事例を挙げた。
「ラジオで当社のサービス『おてつだいネットワークス』を宣伝したとき、PCも携帯電話も触ったことのない70歳の男性がおてつだいネットワークスをやりたいと言って携帯電話のショップに行ったらしい。残念ながら販売員もサービスを知らず、販売店からその男性が電話をしてきたので、機種の選び方や使い方を1時間半かけて電話で説明しました」(砂川氏)
この経験から、ユーザーのモチベーションを喚起するサービスなら、PCであろうと携帯電話であろうと関係ないということをユーザーに教えられたと砂川氏はいう。位置情報の技術を使っているかどうかは、ユーザーには関係ない。本当に狙うべきコア・ユーザーにとっては問題を解決してくれることこそ重要であり、そこにはPCもモバイルも関係ない。これは新サービスを試すこと自体が目的のアーリーアダプターにはない特徴だと砂川氏は指摘した。
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