プロトンが販売する「Parallels Desktop for Mac」(以下、 Parallels)は、一般に仮想マシンソフトウェアと呼ばれるもの。Mac OS Xのなかに仮想的なPCを作り上げて、WindowsをはじめとするPC向けのOSを動かすことができるのだ。
ただし同時に2つのOSを動作させるために、それなりにメモリを搭載することも必要となる。搭載メモリが512Mバイトや1Gバイトでもまったく動かないというわけではないが、アプリケーションを使おうとするたびに切り替えの待ち時間がかかってしまい実用的ではない。快適に使おうと思ったら、2Gバイトのメモリを搭載して利用することをおすすめする。
現在のMacでは、アップルがベータ版として配布しているBootCampを使ってWindows XPやVistaを利用することが可能。ただしBootCampはMac自体をPCとして単独起動するもので、Mac OS XとWindowsを同時に利用することはできない。いっぽうParallelsは、通常利用しているMac OS XとWindowsを1台のMacで同時に動作させることで、MacとPCを各1台ずつ用意して連携作業をする以上のメリットを実現することが目的となる。
もちろんParallelsは仮想マシンであるため、PCとしての速度や一部の機能などには制約があり、BootCampを利用した場合や単独のPCと比べてまったく同一というわけにはいかない。最初は「PCをもう一台買うよりも低コスト」という部分に目が行きがちかも知れないが、実際に利用してみると導入のメリットは別のところにある。
導入には、ParallelsとWindowsの購入が必要だ。昨年4月にBootCampが登場した際にWindows XPのパッケージを購入したMacユーザーも少なくないと思われる。この場合、ライセンス条件を満たしていることを前提として流用することも可能だ。新規に購入する場合は、XPならHomeとProfessionalの両方、Vistaなら、Business、Enterprise、Ultimeteのいずれかが利用できる。MicrosoftではVista Home Basic、Home Premiumを仮想マシンで動作させることを許可してはいないので、ライセンス上これらをParallelsで使うことはできない。
すでにBootCampでインストールされているWindows XPをParallelsで利用することもできる。同一パーテーションで使うならライセンスは1本で構わない。BootCampのWindowsとは別に、Parallels用の環境を新たに構築する場合にはもう1本のライセンスを購入する必要があるので注意しよう。Vistaの場合は、現時点でBootCampパーテーションをParallelsにそのまま使うことができない。前述した利用可能なグレードもあわせて考慮し、現時点でVistaの導入には慎重になるべきだろう。
インストールとWindows環境の構築はウィザード形式で容易にセットアップできる。Windowsを新規導入するにはそれなりの時間が必要になるが、Parallels自体の設定に時間はかからない。新規にWindowsをインストールする場合はウィザードのなかでWindowsのプロダクトキーを入力できるようにするなど、導入を簡単にする工夫が盛り込まれている。
これだけの準備でWindowsの利用が可能だ。Mac OS Xには提供されていないアプリケーションを動かしたり、Macの標準ブラウザであるSafariでは表示できないサイトをWindows上のInternet Explorerで見るなど、きわめて単純な使い方ながら、Mac OS X単独では利用できなかったファイルやインターネット上のサービスが享受できるようになる。これが最初のメリットだ。
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