就任1年 松下電器・大坪社長に聞く--攻めの経営に手応え

FujiSankei Business i.2007年07月06日 12時01分
大坪文雄社長 おおつぼ・ふみお 関西大大学院工学研究科(機械工学専攻)修了。1971年松下電器産業入社。98年取締役。常務、専務を経て2006年6月から現職。61歳。大阪府出身。

 松下電器産業の大坪文雄社長が就任して1年。4月にスタートした中期経営計画(2007〜09年度)では、中村邦夫社長(現会長)時代の構造改革から拡大路線への「フェーズチェンジ」を打ち出した。“大坪松下丸”はどう変わろうとしているのか。1年間の手応えと今後の課題を聞いた。(藤原章裕)

 −−社長就任から1年たった

 「前中期計画(04〜06年度)は『破壊と創造』に代表される構造改革だった。新計画では、フェーズチェンジをして積極的に攻める松下、グローバルにどんどん市場を開拓する松下を打ち出した。国内外のスタッフからは実現に向けた手応えを感じている」

 −−「モノづくり立社」構想を掲げているが、具体的なイメージは

 「モノづくり立社とは、企画やデザイン、設計・開発、生産、販売、アフターサービスまですべての機能をチェーンのようにつなげる仕組み。それぞれバラバラでは強固な製造業の体質を作れない。4月1日に『モノづくりイノベーション本部』を設置し、4つの部会を立ち上げた」

 「例えば、戦略商品のV商品を評価する『マニュファクチャリング部会』では、商品を直接担当するBU(ビジネスユニット=部門)を超えて、100人近いBU長が本当に全社を代表する商品か検討する。このように、ドメイン(事業領域)の知恵を超える活動を全社的にモノづくりイノベーション本部に結集させた」

 −−V商品を代表するプラズマの大画面テレビ市場での優位性は

 「まったく揺るがない。松下全体の成長エンジンはプラズマ。年内には、(2800億円を投じた)世界最大のパネル工場を兵庫県尼崎市で着工する。増産投資は先手を打つ。コスト競争力は一番大事なので、磨きをかける」

 −−37型の液晶テレビを日本や欧州で投入する

 「液晶陣営の大型化で大画面の定義が変わってきた。プラズマは現在42、50型が売れ筋の中心だ。37型はプラズマと液晶を販売する。自然の絵に近く、動画に強いのはプラズマだが、明るさという点では液晶に優位性がある。お客さまの選択肢を増やすためモデルのラインアップを増やす」

 −−ソニーや東芝が有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビの商品化を表明しているが

 「松下電器にとってテレビは家電で一番重要な商品。将来、どんなディスプレーが発展するのかいろいろな研究をしている。当面はプラズマで頑張る」

 −−テレビを中心とした家電のネットワーク化をどう進めるのか

 「テレビはたくさんの情報量を出せる。松下グループの商品がテレビとリンクすることで、いろんな利便性を提案できる。インターホンの映像をテレビ画面で確認したり、ビデオカメラで撮ったハイビジョン動画をSDメモリーカードに保存し、テレビで再生したり…。白物を含む家庭内のあらゆる電気製品をネットワーク化できれば、省エネにつながる電力の使い方なども提案できる」

 −−日本ビクターの売却問題で米投資ファンドのTPGとの交渉を打ち切る一方、ケンウッドと再交渉を始めた

 「ビクターの企業価値の最大化を目指して、あらゆる選択肢を検討している」

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