しかし、プロセスのスケジューリングやハードウェアとの通信といった基本的なタスクを処理するコアソフトウェアであるOSカーネルは、常に作業に追われている。1つには、やたらとカーネルをウェイクアップさせるソフトウェアの存在が挙げられる。また、動作速度を落としたりスリープすべきときに、カーネル本体がこういった対応をせずに電気を無駄にしてしまっている場合もある。
Intelのソフトウェアは前者の問題を発見するのに役立ち、ティックレスカーネルは後者の問題を見つけるのに役立つ。
4月にリリースされたLinuxカーネルのバージョン2.6.21では、ティックレスモードが選択できる。同カーネルは、Red Hatが個人向けに用意している無償版Linux「Fedora 7」に搭載されている。
Van de Ven氏は、「(ティックレスモードを利用すれば)電力をかなり節約できる」と語っている。
同氏によると、一般的なモバイルコンピュータ向けIntelプロセッサは、最高の省電力モードを用いた場合に最大1.2ワットを消費するという。Van de Ven氏は、「気をつけなくてはいけないのが、ミリ秒単位でウェイクアップを繰り返していたら、本格的な省電力モードにはほとんど入れない点だ。最終的には、ティックレスが最大の省電力モードを実現する。これにより、消費電力が大幅に節約されてバッテリ駆動時間が延びる」と語っている。
ティックレスカーネルの下でもタイマーが利用されるが、その手法は異なる。必要な作業を定期的にチェックする代わりに、カーネルはハードウェアをスケジューリングし、必要時に割り込みをかけてもらうようにしている。
ティックレスカーネルには、電力効率に関してもう1つ別の間接的メリットがある。それは仮想化技術が有効活用できるというもの。仮想化は、同一コンピュータ上で複数のOSを同時に実行できるようにする技術で、複数のサーバーを1台にまとめて、活用効率を上げることができる。
ティックレスカーネルがあることで、すべてのOSの基盤にある仮想化ソフトウェアには不要な割り込みによる負担がかからなくなる。したがって、理論上は管理者がより効率的にサーバを活用できるわけだ。
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