Advanced Micro Devices(AMD)は、同社の4コアOpteronプロセッサ(開発コード名:Barcelona)を8月に発売する。これはIntelの現行製品に対抗するためのモデルだが、一段と激しい競争に直面することになるだろう。
AMDはBarcelonaの正式名を「Quad-Core Opteron」とし、当初の動作周波数が最大2GHzとしている。標準版と低消費電力版の2モデルを発売する予定だ。また、標準版およびスペシャルエディションである高消費電力版の両方を高速化にしたモデルも第4四半期に登場する、と同社は語っている。一方、同チップを採用した最初のサーバは9月にリリースされる計画となっている。
AMDのサーバおよびワークステーション部門担当コーポレートバイスプレジデントであるRandy Allen氏は声明で、「AMDが低消費電力版と標準版の両製品の製造を優先したのは顧客と周辺環境の要求からだ。Quad-Core AMD Opteronプロセッサの投入により、これまでで最高レベルのワットあたりの性能を達成する約束を果たせる確信がある」と述べた。
AMDは、64ビットOpteronプロセッサファミリーのリリースにより、IntelのXeonを性能と消費電力の両面で上回り、デュアルコアデザインへの移行を早めることでシェアをのばし、サーバ市場における特定分野を独自に開拓することに成功した。
しかし、Intelも2006年に反撃に出た。同社のデュアルコア「Xeon 5100」モデル(開発コード名:Woodcrest)は、同年半ばに性能の問題を修正した。そして、このデュアルコアチップ2つを1つのパッケージに詰め込むことにより、2006年末には4コアモデルである「Xeon 5300」(開発コード名:Clovertown)が登場した。
AMDのBarcelonaは1枚のシリコンに4つのコアを搭載している。AMDではこのアプローチを「ネイティブ4コア」と呼んで、BarcelonaはXeon 5300を性能面で上回る、と主張している。ただ、唯一問題なのは、このような比較がもうすぐ時代遅れになることだ。
Intelの第2世代4コアサーバプロセッサ「Harpertown」(開発コード名)も、45ナノメートル製造プロセスのおかげで高性能、低消費電力、そして低製造コストを見込んで2007年に登場する予定だ。同プロセッサは「Penryn」ファミリーに属するサーバ版チップである。一方のAMDでは、65ナノメートル製造プロセスへの移行を開始したばかりである。
これまで長い間、一般的にコンピュータ用プロセッサは、1つの処理エンジンしか持っていなかったが、ここ10年の間に、電力をあまり消費せず、発熱量をほぼ同等に抑えたまま性能向上を目指し、2つの処理エンジンを搭載したデュアルコアモデルが登場し始めた。現在は、チップメーカー各社が4コアや8コアモデルへの移行を進めている。Sun Microsystemsでは2008年に16コアの「Rock」チップをリリースする計画だ。
だが、複数のコアを1つのチップに搭載してもそれがすぐに効果があるわけではない。1つには、ソフトウェアをそのチップに適用させるのが難しく、PC用のソフトウェアでは特に困難であるためだ。
もう1つ、4コアチップの方が2コア搭載の同等モデルより消費電力が多いため、マルチコアチップは一般的に動作周波数を落とすことで消費電力を抑える必要があるためだ。現行のデュアルコアOpteronチップの最高動作速度は2.8GHzとなっている。
クロック周波数が高いとプロセッサがタスクをより高速に実行できるが、コアが複数あると一度により多くの作業を実行できる。
AMDはまた2007年中に、PC向けの4コアプロセッサのリリースも計画している。この4コアプロセッサとハイエンド向けデュアルコアモデルは、「Phenom」というブランド名でリリースされるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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