オーストラリアが推進するバイオメトリクス(生体認証)プロジェクト「SmartGate」は、一連の技術的問題に遭遇しながらも、初の一般旅行者向け試験運用を2007年8月にブリスベンで開始する予定だ。これは、当初の予定より6カ月遅れとなる。
SmartGateでは2002年の開発開始時から、顔認識技術を使い、人相スキャン情報と新たに発給された電子パスポートのマイクロチップに記録された情報を比較して、旅行者の身元を特定している。
オーストラリアの航空会社Qantas Airwaysのスタッフや「フリークエントフライヤー」と呼ばれる一部の乗客を対象に、シドニーやメルボルンの空港で実施された顔認識技術のテストは成功した。だが、電子パスポートの読み取り機を統合し、この技術を旅行者全員に拡大することは、より困難な取り組みとなった。
プロジェクトリーダーを務めるオーストラリア税関局のGillian Savage氏は、現地時間6月7日と8日に開催された年次会議「Biometrics Institute Australia Conference」において、遅れの原因として予想外の統合性の問題を挙げた。
「2月末以来、専用のブースとゲートを設置しているが、テストを通じて、ハードウェアとソフトウェアを取り巻くさまざまな問題があることを発見した。ゲートのバイオメトリクス装置はうまく作動している。それ以外の問題で足踏み状態になっている」(Savage氏)
Savage氏によると、SmartGateシステムの問題は主に、ブースとゲートの2段階で処理する設計に起因するという。流れとしては、旅行者がまずブースで電子パスポートを提示すると、ここでパスポートの情報がスキャンされ、ゲート用のチケットが発券される。次に旅行者は、SmartGateのメイン部分であるゲートに進み、チケットを読み取り機に入れる。ここで旅行者の顔がカメラで撮影され、バイオメトリクス認証により、電子パスポートに登録されている情報との照合が行われる。
「われわれは3つのブースと2つのゲートを設けているが、ブースとゲートの間での情報の受け渡しでさまざまな問題が発生している」と、Savage氏は説明した。「旅行者の中には、ひどく疲れている人もいるし、ゲートにたどり着くまでにチケットを破損してしまう人もいるだろう。こうした現実の旅行者を対象にした場合でも、この技術を確実に機能させる必要がある」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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