社会問題の意識向上に貢献する「Google Earth」--米非営利団体が活用

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年06月08日 16時08分

UPDATE カリフォルニア州バークリー発--Googleが提供している3次元表示が可能な地図表示ソフトウェア「Google Earth」を米国の複数の非営利団体が、森林伐採や大量虐殺といったさまざまな問題に対する世間の関心を高めるための新たなツールとして活用している。

 例えば、非営利団体Appalachian VoicesのエグゼクティブディレクターであるMary Ann Hitt氏によると、多くの草の根団体が、4州にまたがる、広大なアパラチア山脈が炭鉱会社の採掘によって破壊されてきた様子を示すためにGoogle Earthの3次元地図を活用しているという。炭鉱業界は、山頂除去と呼ばれるプロセスの中で、より早く、より低コストで石炭を掘り当てるために爆発物で山頂を吹き飛ばしているという。その結果、周辺は汚染物質や廃棄物で埋もれ、川は干上がり、空気中にはばい煙が残存していると同氏は指摘する。

 そこでAppalachian Voicesは、Googleの協力を得て、その周辺にある470カ所の山頂のない山々の仮想「慰霊碑」を設立した。具体的には、Google Earthの3次元地図上の各山の位置に半旗で印を付した上で、各場所に山頂除去プロセスに関する情報や案内を添付した。この地図レイヤは、Google Earthの「Featured Content」内で見ることができる。また、この地図レイヤには、アパラチア山脈の山頂除去前と除去後の航空写真、破壊の範囲を示すためのオーバーレイによる比較、さらに頂上除去の影響を受けた地域社会からの生の声や映像へのリンクも含まれている。

 Hitt氏は米国時間6月6日、当地で開催されている第5回International Symposium on Digital Earth(ISDE)の中で、「(Google Earthの3次元地図は)われわれの考えを革命的に変えた」と述べ、さらに次のように続けた。「従来、マスコミや政府関係者にしか(山脈の現状を)見てもらえなかったが、(3次元地図により)他の多くの人々にも見てもらえるようになった。今やわれわれは、多くの人に向かって情報の発信が可能だ」

 Hitt氏は、Googleが発表したGoogle Earthをダウンロードし、インストールしたユーザーの人数にも触れた。Google Earthは2005年に導入されて以来、ソフトウェア開発者から政府関係者まで、さまざまな人々の関心を集めてきた。GoogleのGoogle Earth担当最高技術責任者(CTO)であるMichael Jones氏は今週になってから、ISDEでBush大統領の次の発言を引用した。「私はGoogle(の地図)上で牧場を見るのが何となく好きだ。それを見ていると、たまに牧場に行きたくなる」

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