デザインから見るデジタルプロダクツ--第7回:NTTドコモ「P703iμ」(パナソニック)

インタビュー・文:木村早苗2007年05月17日 12時44分

携帯電話は、もっとも身近で一番長く身につけているデジタルツールだ。だからこそ、気に入ったものを選びたい。多彩なカラーバリエーション、凝ったギミック、次から次へと登場する新製品デザインの中で、わずか11.4mmというスリムボディにこだわった、NTTドコモの「P703iμ」のスリム化への秘密とエッジの効いたデザインコンセプトを伺った。


ステータスアイテムになる携帯電話をデザインする


リー氏 松下電器産業株式会社
パナソニックデザイン社
リーピーター氏

--最初に、今回デザインされた「P703iμ」のデザインコンセプトについて教えてください。

リー 今回我々がターゲットにした20~40代前半の働く男女について言えば、やはり薄さと素材感でしょうね。そこで、素材感があって、彼らの物へのこだわりを反映させて考えたら、「上質さ」というキーワードが見つかった。携帯電話というよりは、アクセサリー的な質感で目を惹く携帯電話を作ろうと考えました。

--上質な素材感といっても幅広いですが、アイデアソースはどんなところから?

リー 高級ジュエリーや時計、洋服、といったファッションを中心としたショップからですね。携帯電話は今やファッションコーディネイトの一部として自己主張するためのアイテムですから、流行をチェックするには、携帯電話ショップだけを見ていてはダメなんです。

--11.4mmという薄さにまず目が行きますが、具体的にはどのようにデザインを詰めて行かれたんですか?

リー 20~30代のステータスアイテムの一つに車がありますが、一日中は持てませんよね。でも携帯電話なら常に身につけるので、満足感を得られつつ、他人にもアピールができます。そんな気持ちを満たせるシンプルな物になるよう表現しました。

 ポイントは、スーツの胸ポケットに無理なく入る薄さ。基板、液晶、ボディなどを“盛って”作って行くイメージではなく、“削る”感覚で、カードっぽさを出しています。

 また、カラーリングに関しては、「グラファイトブラック」「バーガンディレッド」「クロムシルバー」というネーミングからもわかるように、単純なカラーバリーエーションではなく、素材のバリエーションを作りました。それぞれイメージにしたモチーフは、黒はカーボン、トレンドかつ丈夫さと上質感を満たしてくれる素材です。シルバーは1枚の金属で、磨くことで洗練された上質感を出しました。赤は漆で、日本の伝統工芸としても高級感や上質さを感じさせられる素材です。

 筐体の薄さに対する不安感を抱かせないかどうかも、重要視しています。最終的には、薄さと上質さ、丈夫さを兼ね備えた素材ということで選びました。


PICK UP ITEM
NTTドコモ/P703iμ(携帯電話)


P703iμ

小型、薄型デザインで他を圧倒し続けてきたパナソニックから登場した、“SuperSlimケータイ”。11.4mmという超薄型を実現し、同シリーズとなる「703i」シリーズでは、超薄型化を実現させたモデルのみ「μ」とネーミングされている。カメラ機能はもちろん、SD-Audioなどの機能性も充実されており、スリムデザインを実現した多機能FOMAモデルだ。

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