Sun Microsystemsの売り上げの源は汎用サーバだが、同社は米国時間4月25日、インターネットでできるだけ多くの動画をストリーミングすることに特化した製品の提供を開始した。
この「Sun Streaming System」は、動画ストリーミングソフトウェア、Sunのサーバ数台、ストレージシステム「Sun Fire X4500」(開発コード名「Thumper」)、それから要となる「X4950 Streaming Switch」で構成される。価格が800万ドルとなる最大構成では、X4950に2テラバイトのメモリ、10ギガビットイーサネットポートを32個搭載し、16万の動画ストリーミングの同時配信に対応することができるという。
今日のテレビ番組の多くは通常の放送技術かケーブル配信網を利用したものだが、Sunの最新システムでは、ユーザーはどの番組をいつ観たいのかを選択できる。このような「ビデオオンデマンド」の世界は、オンラインDVDレンタルのNetflixを利用して郵送で届いたDVDを観たり、TiVoで録画した動画を閲覧するのと同じような体験だ。TiVoはハードドライブを内蔵していて、映画は、IPTVという技術を利用してほぼ瞬時に送られてくる。
Streaming SystemはSunの主力製品ラインに含まれるものではないが、Sunが2004年に買収した新興企業であるKealiaの主力製品だったものだ。この買収はSunにとって、通常の買収以上の意味を持つ。Sunは汎用のx86サーバライン「Galaxy」を獲得し、Kealiaを共同で立ち上げたSunの共同設立者の1人であるAndy Bechtolsheim氏がSunに復帰することになったからだ。
ユーザーは自分のスケジュールに合わせて動画を受信したいと思っており、Sunはこのトレンドをとらえている、とBechtolsheim氏は述べている。
「大ヒット映画などというのはすでに過去のものだ」とBechtolsheim氏は言う。Netflixがこれに変わるものとなり、Netflixの現在のモデルはビデオオンデマンドに変わるだろう、というのがBechtolsheim氏の意見だ。
iSuppliのアナリストであるFrank Dickson氏は、Sunの新製品を「感動的なシステムだ。よく考えて設計されている」と評価する。価格も適当だという。だが、ビデオオンデマンドのハードウェアは「特定市場」向けであり、2007年の市場規模は6000万ドルに達する程度と見積もられている。
Streaming Systemの最初の顧客候補は電話会社だろうとDickson氏は見ている。同氏はさらに、「電話会社はビデオ市場に参入しようと必死だ」と述べる。Dickson氏によると、ケーブル企業のインフラはビデオオンデマンドに対応しにくいという。なぜなら、多くのサービス加入者が同じ帯域を共有しており、これが現在のビデオオンデマンドサービスを制限する問題となっているからだ。
Streaming Systemは、数段階の速度で早送りや巻き戻しできる機能など、エンドユーザーが望むいくつかの機能を提供する。セントラルサーバと通信するセットトップボックスが必要だが、安価なモデルにも対応するよう設計されている。セットトップボックスを利用しない場合、PCを利用して動画ストリーミングを受信することもできる。
Bechtolsheim氏は、ビデオオンデマンドのエコシステム確立に必要なのは、動画ストリーミングを送信するためのハードウェアとソフトウェアを用意することだけではないことを承知している。映画会社などのコンテンツサプライヤーとネットワークを管理するケーブルテレビや電話会社などの事業者との関係もこのエコシステムに必要な要素だ。
「動画配信にまつわる法的な問題があまりにも大きい」とBettelheim氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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