楽天VS.TBSに仲裁役、盟友、大株主 キーマン3氏、思惑複雑

FujiSankei Business i.2007年04月24日 11時22分

 楽天によるTBS株買い増し表明で再び全面対決に突入した両社の攻防。その行方を左右する3人の“キーマン”の動向に注目が集まっている。みずほコーポレート銀行の斎藤宏頭取(63)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭社長(56)、エービーシー・マートの三木正浩会長(51)だ。

 斎藤頭取は2005年に楽天がTBS株を大量保有し激しく対立した際、両社の和解を仲介。増田社長は楽天の三木谷浩史社長が自身とともにTBSの取締役への専任を要求している盟友。三木会長はTBS株約9%を保有する大株主だ。

 斎藤頭取は三木谷社長にとって、みずほコーポの前身である旧日本興業銀行時代の大先輩。「三木谷社長を説得し、ほぼ負けに等しい和解に応じさせた」(楽天関係者)という。

 三木谷社長は今回の買い増し表明も斎藤頭取に水面下で接触し相談していたもようだ。

 TBS側は両者の親密な関係に加え、買い増し表明を止められなかったことに「不信感を持っている」(TBS関係者)とされる。このため、「今回は中立的な立場で仲裁に入ることは困難。両社から距離を置かざるを得ない」(みずほ関係者)との見方が出ている。

 「TSUTAYA」を展開するCCCの増田社長も三木谷社長の興銀人脈。「三木谷社長が興銀時代に(CCCの)アドバイザーを務めた95年以来の友人」(増田社長)という。

 ただ、CCCは、TBSと映像ソフトの配信を展開する合弁会社を設立しており、提携関係にある。

 楽天が6月のTBS株主総会で取締役への選任を求める議案を提出することについて、増田社長は、「三木谷社長からの依頼を引き受けたのは、個人としてTBSのために微力を尽くせる可能性を感じたから」と説明している。

 関係者によると、増田社長はTBSの井上弘社長と会談し事情を説明したというが、寝返られた形となったTBSは、その真意を測りかねている。

 一方、楽天は6月の総会に役員選任と買収防衛策の実質的廃止を求める議案を提出。株主の過半数の賛同を求めるプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)の展開を表明している。

 三木会長が楽天に付けば持ち株比率は約30%に達するだけに行方を大きく左右する。ただ、関係者によると、「TBSはすでに三木会長に接触し自陣に取り込んだ」との声もある。

 楽天VSTBSの攻防は,多数の登場人物の思惑も複雑にからみ、落としどころがみえない泥沼化の様相を呈している。

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