Verizon Communicationsが特許侵害でインターネット電話サービスプロバイダのVonageを訴えていた件で、3件の侵害についてVonageに5800万ドルを支払うよう命じる判決が下った。
Vonageは、VoIP技術を用いてブロードバンド回線を電話回線に変えるサービスを提供している企業だ。今回、バージニア州東部地区連邦地裁は、VoIP通話を従来の電話ネットワークに接続する技術、ならびに通話中着信やボイスメールサービスを実現するための機能の一部について、Vonageが特許を侵害していると認めた。
Verizonに損害賠償と継続的な特許使用料を支払うことになれば、特許権を侵害しない解決策を打ち出さない限り、Vonageは深刻な打撃を受ける可能性がある。Vonageは事業開始以来、いまだに黒字を達成していない。
しかし、Vonageにとっての最大のリスクは、同社がサービスの停止を余儀なくされるおそれがあるということだ。損害賠償に加え、Verizonは問題の技術の使用差し止めも求めている。本件について、連邦地裁のClaude Hilton裁判官は、条件を満たしたライセンス契約が実施されるまでの間、Vonageによるサービス提供の停止を命じるかどうかを決定するため、米国時間3月23日に審理を開く予定だ。Vonageはプレスリリースの中で、同社はサービスの中断はないものと考えていると述べている。
Verizonは2006年6月、複数の特許を侵害しているとして、Vonageをバージニア州東部地区連邦地裁に提訴していた。
Verizonは、提訴に踏み切った時点では、同社の保有する特許7件をVonageが侵害していると主張していた。Verizonはその後申し立てを修正し、最終的に陪審は5件の特許について審議した。陪審は、Vonageによる特許侵害の有無だけでなく、特許そのものの有効性についても判断を求められた。陪審は5件の特許すべてについて、その有効性を認めたが、Vonageが侵害したのはそのうちの3件のみという判断を下した。
陪審員はさらに、Wi-Fi端末を使ったVoIP通話に関する特許についても、Vonageが侵害していると認めた。不正行為を防ぐための課金システムに関連する2件の特許については、侵害行為はないと判断された。
ただし、8名の陪審員は、Vonageによる特許侵害が故意によるものだというVerizonの主張を退けた。仮に陪審員がこれを故意によるものと認めた場合、Verizonに支払われる損害賠償額が3倍になる可能性もあった。
訴えのすべては認められなかったものの、Verizonは今回の判断に満足しているという。
Verizonのシニアバイスプレジデントで、副主任弁護士のJohn Thorne氏は、声明の中で次のように述べている。「特許とは、顧客にメリットをもたらし、雇用を創出し、経済成長を持続させるための技術革新を促進し保護するものだ。われわれは当社の開発者を誇りに思っているし、陪審がわれわれの立場を擁護し、相応の法的保護を与えてくれたことを喜ばしく感じている」
Verizonは1億9700万ドルの損害賠償を求めていた。これに対し、裁判で証言したVonage側の専門家は、同社の支払うべき賠償額は最高でも6900万ドルだと主張した。最終的に、陪審はVonageの賠償額を5800万ドルに決定した。これはVonageの顧客1回線当たりの売上から5.5%を支払うとして換算された額だ。Vonageの契約件数は公称で約220万回線とされている。さらに、今後継続して支払われる特許使用料についても、同様の換算方法が適用されるかもしれないと、あるVerizonの関係者は述べている。
公判中、Vonageはいかなる特許侵害も一貫して否認した。同社側は、使用しているほとんどの技術は業界標準に基づいものであり、通信業界ではひろく使われているものだと主張していた。Vonageは上告の意向を明らかにしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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