デザインから見るデジタルプロダクツ--第6回:パイオニア「music tap」 - (page 2)

インタビュー・文:山口優2007年04月03日 15時40分

デザインモチーフは花器、主張しすぎないデザインを心がける

一樂 インタビュー調査から浮かび上がってきた意見をもとに、2カ月ほどかけてまた新しいデザイン案をつくっていったんです。

高橋 そのデザイン案をもとに再び調査をして、ふるいにかけていきました。そして、どの人にも嫌われないデザインであること、主張しすぎず周囲のインテリアに自然に調和することなどを重視して、花器をモチーフにしたものをチョイスしたんです。

デザインモック デザイン完成までに描き上げられたサンプル画の一部。サウンドステーションの形状や使用素材などアイデアは多岐にわたっているが、“シンプル”というキーワードは共通だ

--花器ということで、陶器のような質感も特長になっていますね。

高橋 使っている素材自体はプラスチックなんですが、表面処理をマットなものにして質感をつけています。また、スピーカー部分のデザイン特徴でもあるフチの形状なのですが、陶器らしい雰囲気を出すために、厚みやRなどの細かな調整を何度も行いました。

一樂 光沢感のある白は比較的よく見かけると思いますが、このようなつや消しの白は、AV機器ではあまり見ないですよね。その意味でも個性的なデザインになったのでは、と思っています。

--デザインする際に苦労されたことはありますか?

高橋 全体にやさしいフォルムになるように、アールのつけ方にはこだわっています。上から見ていただくとよく分かると思うんですが、スピーカーLの方は、ふつうの楕円形ではないんです。複数のRが滑らかにつながるように注力しました。また、金型を使うと合わせ面の跡がどうしても残ってしまうのですが、それも目立たないところにくるように工夫しています。もっとも、デザイン的に非常に自由度の高い製品だったので、苦労というよりは楽しみの方が大きかったですね。

設計図 ネットワークスピーカーLの設計図面。二重になっている外側のラインが実際の製品に使用された曲線となる。通常の楕円(内側の線)に比べてアールが柔らかなラインを描いているのがわかる

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