楽天、「Web 3.0ではなく“サードリアリティ”を追求する研究所」について語る - (page 2)

島田昇(編集部)2007年03月28日 03時15分

--すでに国内外で評価の高いオープンソースのスクリプト言語「Ruby」をベースとした開発体制を、研究所の発案で導入しました。現時点で研究所における重要な機能として挙げられるものを教えて下さい。

 主に社内での月例講演会などを行っています。研究所が本格的に動き出した2006年10月の翌11月より、Rubyを開発したまつもとゆきひろ氏を招くなど、社外からゲストを招いて定期的に開催しています。

 というのは、技術研究は事業側の人たちに理解されず、先駆的な技術が事業化しづらいという問題があるためです。よくあるのが、研究者の発表内容を事業家の人たちが聞いて、「で、それ何の役に立つの」という光景です。

 私は人的な交流が、研究所の機能として欠かせないものだと認識しています。ですから、講演会もそうですし、小規模な勉強会というのは毎週のようにあります。つまり、事業側の人たちは技術研究のことを理解した上で、事業に結びつくであろう「種」を見つけ出し、研究側の人たちも事業化に結びつくことを前提にした研究を行えるという思想や仕組みを、社内に根ざしていきたいという狙いがあるわけです。

 また、当社では東京大学の米澤明憲教授を技術顧問に迎えており、米澤教授を中心とした社外の人的基盤との交流についても積極的です。技術開発の生産性においては、技術者の創造性が重要になるわけですが、その原動力になるのは人的基盤であると考えています。その創造性を醸成していくのは、人と人とのつながりであるとの信念を、私自身が持っているからです。

 実際、たくさんの研究者にヒアリングしたのですが、人的基盤の重要性を訴える人は多かったです。もっと言うと、ネット以外でも一流の技術を研究している人たちとは積極的に交流することで、さまざまな視点から創造性豊かな発想をしてもらいたいという狙いもあります。

--研究所は何人体制で展開するのですか。

 年内には10人体制になる計画です。

--ヤフーも研究所を立ち上げます。研究者としては、よりアクセス数が多く、データ量も豊富なサイトを活用して研究したいと考えるような気がします。

 今年は技術の楽天として、これまでやってきたことや今後やっていくことなどを、きちんと(外部に向けて)出していきたいと考えています。技術におけるイベント開催やコミュニティ参加などにも積極的に取り組みますし、目指す方向性も明確に打ち出していきます。それによって、おっしゃるような類推とは違う結果を生み出せると思っています。

--楽天のサービスは囲い込みの精神が強いと思っています。今後、技術もサービスもオープンなものが主流になりつつある中で、楽天の根幹にあるように映る囲い込みの精神自体を、変えていかなければならないという課題もあるのではないでしょうか。

 確かに、変えていく必要性のあるところというのは、たくさんあると思います。技術研究所は、そういうものをきちんと変えていくエンジンにしていきたいと思っています。

--それについて三木谷氏はどう考えているという印象を持っていますか。これまでは、囲い込みをするためのポータル(玄関)メディアとして、「打倒ヤフー」を意識し、事業規模の拡大を最優先していた印象を受けますが。

 私と同じ考えだと認識しています。

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