Symbianが、モバイル端末向けOSのアップデート版を発表した。メモリの使用効率を向上し、プッシュ型の電子メールに対応する。
Symbianは、「Symbian OS 9.5」が以前のバージョンよりも価格が抑えられており、これまでSymbian OSが最もよく知られているハイエンドのスマートフォンだけでなく、比較的安価な携帯電話にも利用できることになる。
Symbian OS 9.5は米国時間3月26日、フロリダ州オーランドで開催のイベント「CTIA Wireless 2007」で発表された。SymbianのプロダクトマネージャーであるIan Hutton氏は、ZDNet UKの取材で、デマンドページングを使用することにより、Symbian OS 9.5を採用した携帯電話は起動が早くなり、応答性がよくなると説明した。デマンドページングとは、システムのライブラリをあらかじめ物理メモリに読み込んでおくのではなく、必要になったときに一部だけを読み込むメモリ管理技術。
同氏はデマンドページングについて「デバイスが使用するRAMの量を抑えて、電話機メーカーの意向によっては、携帯電話に搭載するメモリを少なくするという選択肢も可能になる」という効果があり「生産コストが(上記の理由から)ハイエンドだけでなくミッドレンジの携帯電話にもSymbian OSを採用可能なラインまで下がる」のだと付け加えた。
Symbian OS 9.5には、より多くのメモリを有効利用するため、メモリ使用量を最適化する機能が搭載される。Hutton氏によると、Symbianは「デバイス利用時に平均で20%から30%のメモリ使用量の削減」を見込んでいるという。メモリ使用量の削減は、バッテリ消費量の削減にもつながる。
上記以外でSymbian OS 9.5が大きく進歩した点は、Symbianによると、「Microsoft Exchange」サーバとの無線接続に使用する「ActiveSync」の統合であるという。これまでActiveSyncは、Symbianを搭載した携帯端末に対する、電話機メーカーによる追加機能としてしか提供されてこなかった。Hutton氏によると、OSに搭載するカレンダーや住所録にも改善を加えたのだという。最近発表されたMicrosoftの「Windows Mobile 6.0」に関連のある発言としては、Symbianは「データ同期を頻繁に行うビジネスユーザーが主体となる業務用機器市場において、高い競争力を持ち続ける」と述べた。
Symbian OS 9.5はネットワークの面でも、SIPスタックの改善やWi-Fi接続と3G接続の切り替え機能をサポートする。
Symbian OS 9.5では、GPSなどの地理情報技術のサポートも充実した。Hutton氏によると、新しい地図アプリケーション用APIにより、電話機メーカーが地理情報サービスを利用可能な携帯電話を開発するコストが大幅に下がるのだという。
Symbian OS 9.5を搭載した携帯電話は、2008年中ごろから発売が開始される予定。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス