グーグル独占にはさせない--Wikipedia創設者が挑む、オープンソース検索エンジンの世界 - (page 2)

永井美智子(編集部)2007年03月12日 03時58分

――多額の資金を集めているということですが、投資家に対してはどのようなメリットを最終的に提供するのですか。株式公開も視野に入れているのでしょうか。

 まだ株式公開の計画はありません。プロジェクトが成功すれば、大きなビジネスになる可能性があります。もちろんうまくいかなければ投資家は損をするわけですが、ベンチャーキャピタルもそのあたりは承知しています。

――Wikipediaは運営費用の工面するのに苦労しているという話が出ています。今回のSearch Wikiaの開発は、Wikipediaの運営費用をまかなう目的があるのですか。

 誤解のないように申し上げておきますが、まずWikipediaを運営するWikimedia Foundationは非営利団体です。これに対し、WikiaはWikiのホスティングなどを手がける営利組織で、Wikimediaとは関係ない別の組織です。WikiaはWikimediaに対して寄付をすることで活動支援をしています。

 Wikimediaは全世界からの寄付によって活動資金をまかなっていますので、資金面で大変なのは事実です。だからといって、(すぐにWikipediaの運営ができなくなるような)難題に直面しているというわけではありません。Search Wikiaの開発とWikipediaの運営問題とは、まったく関係がありません。ただ、検索エンジンが成功すればWikimediaにとっても大きな助けになるでしょう。

 検索エンジンを開発するには、多額の先行投資が必要です。大規模なサーバネットワークを利用し、多くの優秀なエンジニアを雇う必要があります。Wikipediaのように慈善事業でやるのは難しいため、Wikiaで手がけることとしました。

――サービスの開始時期は。

 具体的な目標は立てていませんが、2007年中に基本バージョンをリリースしたいと考えています。ただ、これは決して優れたものではないでしょう。Wikipediaが最初、1つのページから始まったのと同じことです。

 現在ある大手の検索エンジンに匹敵するものになるには、1〜2年はかかるでしょう。

――将来的に、GoogleやYahooを凌駕する検索エンジンになると考えていますか。

 これまで検索ビジネスは非常に利益があがるものでした。我々としては市場の5%でも確保できれば嬉しいと考えています。この競争環境の中で、オープンソースで5%のシェアを獲得できれば素晴らしいですね。

――日本市場の展開は。

 日本は非常に独特な市場ですね。インターネット接続率が高いですし、経済的に見ても重要な市場です。ただ、欧州とは言語体系が違います。ですから、英語のものをフランス語やドイツ語に展開するのとはわけが違います。たとえば同意語、複数形などでの課題があります。

――競合と比べた場合、Wikia Searchの強みはどこにあるのでしょうか。

 質の高い検索結果自体は、もはやありふれています。ですから、我々の強みは「透明性がある」というブランドイメージです。これにより、より多くのトラフィックを集めたいと考えています。

――収益はどのようにしてあげていきますか。

 広告モデルを考えています。この点でGoogleは良い活動をしていて、広告の透明性が出てきていると思っています。

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