ウィキアが無料サービス「Openserving」発表--広告収入も100%ユーザーに分配

坂和敏(編集部)2006年12月12日 16時07分

 Wikipediaなどを立ち上げたJimmy Walesの運営する営利企業Wikiaが、米国時間12月11日に「Openserving」という新サービスの開始予定を明らかにした(Openservingでは現在ユーザー登録を受付中)。Wikiaのプレスリリースによると、同社はこの新サービスを通じて、ソフトウェア、ホスティングサービス、回線費、コンテンツをすべて無料で提供し、だれでも(コンテンツ作成のための)共同プロジェクトを運営できるようにするほか、広告収入も100%ユーザーが受け取れるようにするそうだ。

 同社ではOpenservingの第1弾として、先ごろ買収したArmchairGMの技術--同社が開発したMediaWikiを提供する予定で、その後もオープンソースのソフトウェア--ブログツールの「WordPress」やコンテンツ管理システムのDrupalなどをホスティングする形で提供することを検討していると、Reutersの記事は伝えている。

 これまでのオンラインサービスは、サービスやコンテンツなどを無料で提供し、代わりに得られた広告料を収益源にするものがほどんど。「広告収入までユーザー側に渡してしまって、いったいどうやってサービスを運営するのだろうか?」という疑問がわくが、この点について同社のプレスリリースには「ビジネスモデルに関するすべての答えが揃っているわけではないが、われわれのコミュニティの生み出す知恵が広まると信じている("We don’t have all the business model answers, but we are confident ... that the wisdom of our community will prevail.”")」とあるだけ。一方、上記のReutersの記事にも確たる記述は見つからないが、「Openservingのユーザーは、同社のリソースを使ってつくったウェブサイト(ページ)からWikiaへリンクする必要がある」とあるため、あるいは(やはり広告収入をあてにしている)Wikiaサイトへのトラフィック増加を狙いとしているのかも知れない。また、Amazon.comが先ごろWikiaに出資したことと、この新サービスのつながりについても現時点では不明だ。

 Wikiaは、Marc Andreessen、Dan Gillmor、Mitch Kapor、Reid Hoffman(元Paypal幹部でLinkedIn創業者)、伊藤穣一などの各氏がエンジェル投資家として出資しており、今年3月にはこれらの投資家やVCなどから合わせて400万ドルの資金を調達していたという。

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