ポータルサイトの「Naver」を運営するNHNは、2006年の年間売上額が5734億ウォン、営業利益が2296億ウォンを記録し、史上最大の成績を上げたと発表した。
2006年中でも特に成績が良かったのは第4四半期だったが、これは928億ウォンを売り上げ前期比17.3%成長した検索広告や、395億ウォンを売り上げ前期比33%成長したオンラインゲームなどが貢献したものだ。
好調のNHNは2007年も引き続き、検索とゲームを主力としたサービス全般の品質向上や、韓、中、日、米のグローバルゲームポータル間のシナジー強化に努めていきたいと述べている。しかしそんなNHNの躍進に水を差すような話題が立ち上ってきた。
韓国公正取引委員会が3月から、韓国の大型ポータルサイトの不公正行為に関する調査に乗り出すことを明らかにしたのだ。
韓国のポータルサイト市場で大きな占有率を誇っている「Naver」「Daum」などの過度な市場独占状態に関する調査なのかと思いきや、「自社努力で独占状態になったことに対しては問題として取り上げない」(公取委)とのこと。
それより問題なのは「(ポータルにコンテンツを提供している)コンテンツプロバイダ(以下、CP)から提供されたコンテンツに対する対価の支払いを、遅らせたり減らしたりする行為。他のウェブサイトと契約しないことを条件に取り引きする行為など」に対するものだという。つまり市場を独占している立場を乱用するような行為に対する調査だ。公取委では「もしこれらの行為が見つかれば、それなりの処置を取り、制度改善も辞さない」としている。
公取委のこうした発表がなされてからというもの、韓国ポータルの独占問題が話題にのぼり、あらゆる議論がなされるようになった。
2月下旬、弁護士や国会議員などが参加する「診断!大型ポータル業者の不公正取引」と銘打たれた討論会が開かれた。
ここに参加した弁護士は、2005年におけるNaver、Daumおよび「NATE」の売り上げの合計が、ポータル業界全体の約87%にものぼることを明らかにしたうえで、これが「3つ以下の事業者の市場占有率の合計が100分の75以上である場合、その事業者は市場支配的事業者と推定できる」という、韓国の構成取引法の項目に当てはまる可能性があると主張した。
さらにその強大な力を利用した各ポータルが、コンテンツの流通に関して価格や数量、品質などの取引条件を思いのままに決定、変更する憂慮が大きいとしている。
また同弁護士は、ポータルサイトで検索した際に関連企業のウェブサイトのリンクがサイト上に現れるようにする「検索登録」に関しても、そのための審査料が無料から有料化された時期や価格が、複数ポータルサイト間で同じであることから、これに関して談合の可能性があるのではないかとの疑念を明らかにした。
この公聴会の後、公取委ではこうした不公正行為についても調べ上げると述べている。一方CPの中にはポータルサイトが対価を遅らせて支払ったり、収益配分をポータルサイトに有利なように一方的に決める行為があると明かす企業が登場したりするなど、疑惑はますます深まり業界には緊張が走っている。
3社だけで業界全体の約87%もの収入を占めるほど独占状態にある韓国ポータル業界。この収入が不当行為からなるものであったならば、当然改善の余地があるだろう。
逆にそうなるとポータルサイトは今後苦戦を強いられそうだ。特に占有率がもっとも高いNHNは、2007年の年間売り上げを8000億ウォンまで上げていくという高い目標を掲げているほか、上半期中に日本の検索市場に再進出し返り咲きを狙うなど、2007年を勝負の年と位置づけている。そんな時に浮上した公取委の調査の余波はNHNにどんな影響を与えるのだろうか。韓国ポータルの白黒とともに注目される。
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