サンフランシスコ発--あと数年間で大学教育はどのように姿を変えるのだろうか。その答えは、米国最大の4年制総合大学群を有する、カリフォルニア州立大学(CSU)が持っているかもしれない。
同大学群は、23のキャンパス、4万6000人のスタッフ、40万人以上の学生で構成されている。その最高責任者であるCharles Reed氏は、将来的な教室スペースの確保に懸念を感じていると言う。その理由は主に、増え続ける入学者数だ。
Reed氏は語る。「したがって、これからは在宅型の学生が増えていくと思う」。すなわち学生たちは、キャンパスで教職員やクラスメートと顔を合わせるのは週に1度で、週の残りの日はシミュレーション、仮想世界、ダウンロードした情報を使って、履修した授業をこなしていくようになるのだ。
米国時間2月6日にサンフランシスコで開催された「Worldwide Education and Research Conference(WWERC)」で、Reed氏は、「これは二者択一の問題ではない。われわれには『人間的な触れ合い(high touch)』も必要だが、同時に『最先端技術(high tech)』も不可欠なのだ」と発言した。
Sun Microsystems(Sun)が2月6日〜2月8日にかけて主催した同カンファレンスは、世界中の大学から集まった参加者およそ400人でにぎわうホテルのパーティルームで初日を迎えた。初日、Sunはかなりの時間をかけて、同社のクラスルームコンピューティング用オープンソーステクノロジを教育関係者にアピールした。ここでは、Sunの会長Scott McNealy氏も登場して、Sunの幅広い活動を宣伝した。同氏は、標準規格の貨物輸送用コンテナをデータセンターにしてしまう「Project Blackbox」や、Wikipediaの構築モデルを応用して無償カリキュラムを作成するプロジェクト「Curriki.org」などを紹介した。
McNealy氏は基調講演で、「テクノロジは、教育の現場でも十分に活用されるべきだ。商業、出版、銀行の業務がこれによって大きく変わったように、教育にも大改革がもたらされるだろう」と語った。
「仮想世界は既に大学教育を変え始めている」--複数の教育専門家がそう証言している。
仮想世界に建物を建ててカリキュラム管理ソフトウェアを提供しているMoodleroomsの最高技術責任者(CTO)兼主任アーキテクトStuart Sim氏によれば、70校を超す総合大学が「Second Life」の「アイランド」にキャンパスを建てているという。また、Moodleroomsは現在、Second Life内の学生と彼らが利用するカリキュラムの効率的な管理を支援するツールを、各大学向けに開発中だとも語った。このツールは、各大学がSecond Life内のキャンパスに学生のアバターを追加または削除するためのアプリケーションとなる。このプロジェクトは「Sloodle.com」と名付けられている。
カナダのバンクーバーにあるGreat Northern Way Campus。同校のデジタルメディア修士課程プログラムでエグゼクティブディレクターを務めるGerri Sinclair氏は、同氏が監督するプログラムでは、現在、バンクーバーのキャンパスに加え、Second Lifeに仮想キャンパスを建設中だと語った。「生まれたときからデジタルに親しんできた当校の学生には、昔ながらのコミュニケーションが通用しない面がある。だから、われわれは、本物のキャンパスを建てるのと同じように、仮想キャンパスを建てている」(Sinclair氏)
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