米ヤフーの買収路線を読み解く:これからは「賢者の買い物」?

文:Emre Sokullu、Richard MacManus 翻訳校正:吉井美有2007年02月20日 08時00分

 本稿はEmre Sokulluが執筆し、Richard MacManusが編集した。

 Yahooは最近問題を抱えていた。2006年の第3四半期の財務状況が芳しくなく、シニアバイスプレジデントのBrad Garlinghouseの「ピーナッツバターマニフェスト」(※訳者注)が、同社のGoogleやその他の企業に対抗する能力に疑念を抱かせる結果となった。一部には、GoogleのYouTube買収はYahooが重大なオンライン動画産業で失敗したことを意味すると考えているものもいる。しかし、われわれは見通しはそれほど暗くないと考えている。本記事では、Yahooの最近の買収と同社の新しい脱ポータル戦略を調べてみることにする。

※訳者注:「ピーナッツバターマニフェスト」はウォールストリートジャーナルに掲載されたYahooの内部文書。Garlinghouse氏の手によるもので、現状のYahooの「広く浅い」投資方針をパンに塗るピーナッツバターに例えて批判し、方針の修正を呼びかけるもの。

Web 2.0時代の買収

Yahoo

 現在Yahooが買収にかける費用は、ドットコム時代と比較すると小規模だ。2006年は動きが遅い年でもあった。Facebookを10億ドルで買収するのではないかという憶測はあったが、これは実現しなかった。そして、Yahooは結局3つの企業しか買収しなかった(訂正:Yahooの広報担当によれば、Jumcut、Bix、AdInteraxの他に、Yahooは台湾のWretchとスウェーデンのSNS分野でKenetworksを、また、IPTV分野でMeedioを買収したとのこと)。2007年のはじめにMyBlogLogを買収したことは、2007年の同社は買収に関しては動きが速いことになる。

 それでは、このウェブの時代の買収をいくつか見ていくことにしよう(そのためここでは2005年以降のものを見ていく)。

Blo.gs:ブログ検索

Blo.gs

 Blo.gsの買収規模は公開されていないが、買収金額は非常に低く、人件費程度のものではないかと見られている。その見返りとしてYahooが得たものは何だろうか。比較的大きな、オープンソースの、人気のあるブログpingサービスだ。ブログpingサービスは、日付順のブログ検索には不可欠だ。YahooはGoogleの持つBloggerのような大きなブログネットワークは持っていないが、それでもYahooはブログ更新については大きな権威のひとつであり、フルコントロールでその情報を追うことができる。ブログ検索は、ユーザーがリアルタイムで起きている出来事を追い、最新の問題についての人々の意見を学ぶうえで重要な要素だ。

Flickr:写真検索

flickr

 多くの人が、YahooがカナダのFlickrを4000万ドルで買収した目的はその革新的な写真ホスティングサービスを手に入れることだったと考えているが、それは氷山の一角に過ぎない。Flickrのタグ付け手法は、実際に写真を検索可能なものにしている。Yahooは検索可能なメディアを買収し、それを他のYahooの商品と統合したのだ。現在ではFlickrは広くアクセスされるサービスという財産であり、Yahooのメディアリポジトリ中にあるライセンス管理対象の写真のタグ付けが進んでいる。

 Googleはゲーム的要素を取り入れた戦略でYahooを追随しようとした。Google Image Labelerがそれだ。しかしこれはマニア向け過ぎて、うまく立ち上がらなかった。

Upcoming.org:イベント検索

upcoming.org

 2006年に、eBayは200万ドルをイベント関係のサービスに投資した。オフラインの世界で組織を作ったり、社交的なイベントの情報やその結果レポートを提供したり、イベントを検索できるようにしたりするサービスが注目されている。Yahooは、upcoming.orgを低価格で買収することにより、この競争の一角を占めた。

del.icio.us:ウェブ検索

del.icio.us

 多くの人がdel.icio.usをブックマーキングサービスだと考えているが、検索に関する記事で以前述べたとおり、del.icio.usはアルゴリズム的検索結果を改善する素晴らしいツールでもある。Yahooは、同社の検索能力を強化するため、2002年にInktomiを2億3500万ドルで買収した。del.icio.usは安く、Yahooの検索結果には大きな効果を持ち得る。

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